山間 | 山間を抜けるたびにちらほらと人家が現れるものの、その規模は大きても集落といった程度。 |
ちらほら | |
裾野 | ──〝山の裾野〟がバラけ始める。 「近くの屍人があたしたちに気付いたみたい!」 |
うねり | けれどその向こう──死人が折り重なった山の彼方から、大きなうねりが押し寄せてくるのが見える |
投擲 | 以前、帆乃夏も言っていたが──加速させた瓦礫の投擲は〝砲撃〟のようなもの |
異音 | シュゴォォォォ──ッと何かが蒸発していくような異音 |
立地 | ああ、元は老舗の料理屋だよ。立地が良くて中の状態も良くなかったから、拠点として使わせてもらっている |
洛中 | 平安京の頃に作られたものらしい。元は洛中へ入り込もうとする鬼を阻む〝魔除け〟だよ |
魔除け | |
傘下 | 戦後、九條家は西洋魔術師の傘下に入って向こうの血も混じったから、今は正式に魔術師だと言っていい |
小出し | 夜未さんが取引を持ちかけてきた以上、こちらの情報も小出ししようとしているのだろう |
ガラ空き | 繁華街は持ち主を喪った車が詰まっていたのに、こちらはガラ空きだ |
のっぺり | そして駅の向こうには高い建物が少ないのっぺりとした街並みが彼方まで広がっている |
ジリ貧 | どう足搔いてもジリ貧だった場面に転がり込んできた地位さ希望 |
常温 | かなり甘そうな上に、冷蔵などされていないから常温だ |
ドキリ | 襖を開ける音が思ったより響いてドキリとしたが、帆乃夏の寝息は乱れなかった |
上擦る | ただ、彼女に対して秘密を抱えている私は、つい声が上擦ってしまう |
橋桁 | 日陰になった橋桁の下を通る時だけ注意を払いつつ、少し重いペダルを漕ぐ |
ずんぐりむっくり | 昨日見たのは瓦礫が組み合わさった白っぽい感じのゴーレムで、ずんぐりむっくりした体型だった |
朱塗り | 門というよりはお堂に近い大きな朱塗りの建物だ |
正攻法 | 火の魔術は熱量を操作できるんですが、変化を大きくするとその分体力も消耗しちゃって──とてもじゃないですが、石を溶岩にしたり、水をプラズマになるまで熱するなんて、正攻法では無理でした |
自堕落 | む、私はそこまで自堕落じゃありません |
出奔 | 元々家が勝手に決めた婚姻──私が出奔して次期当主の座が朝羽に移れば、自動的に彼女が彼と結ばれることになる |
有難迷惑 | るだけ詰めておくか……羽衣には有難迷惑だろうがな |
お鉢が回る | そっちのことは全部朝羽にお鉢が回ってるだろうな。迷惑をかけてすまない |
請け合う | 開き直った様子で帆乃夏は請け合うが、私は余計に困ってしまう |
肩入れ | どうして羽衣にここまで肩入れするのかって聞かれたら、自分でもよく分かりませんけど…… |
漏出 | 燃料を漏出している車が連鎖して爆発しているのだろう |
濛々 | 渦を巻き、私の掲げる杖の先に集まり──空へ濛々と立ち昇っていた爆炎も龍のようにうねりながらこちらに向かってきた |
薄目 | 頑張って薄目を開けると、右隣でネている少女の顔が視界に入る |
踏ん切り | 本当はまだ踏ん切りがついていないけれど、懸命に強がっているという様子だ |
冊子 | 私と羽衣はソファに座り、テーブルの上に積み上げた冊子を一冊ずつ検めていく |
軒下 | さながら軒下の小人か、妖精さんって感じね |
悪目立ち | そういうば私の学校にいた時、帆乃夏は何でも一番を取ってしまえる能力があるのに、悪目立ちし過ぎないように気を遣っていた気がする |
貸与 | お父さんが請け負った仕事の記録には、必ず〝鍵杖〟というものが貸与されていたって書かれてました |
階梯 | あたしの方にもあったよ。第三階梯とか第四階梯とか、種類があるみたいだったけど |
土埃 | 確かにハンドルやシードは、土埃で汚れている |
陣取る | ここなら不意打ちはないし、ダッシュボードの上には〝見張りは自分に任せておけ〟というようにペラが陣取っているので安心だろう |
臆する | 羽衣は臆することなく温泉旅館を指差した |
籠城 | 誰かが籠城して、死人の群れに取り囲まれていたら、もっとここは荒れ果てていただろう |
おぼつかない | 薄暗い玄関口から、一体の死人がおぼつかない足取りで外へ出てこようとしている |
こびり付く | 胸の内にこびり付く小さな不愉快感 |
暖簾 | パタパタとスリッパの軽い音を響かせて廊下を進めば、突き当りに温泉の入り口を示す暖簾がある |
ドバドバ | 黒い岩で囲われた湯船には、岩の隙間からドバドバと新たなお湯が流れ込んでいた |
均整 | 星明かりが直接彼女を照らし、均整の取れた白い肢体を浮かび上がらせた |
ドクドク | とてつもなく恥ずかしくて、心臓がドクドクいっているのが自分でも分かるぐらいだけど──嫌なわけではない |
織り成す | 行く手に見えるのは、数多の建物が織り成すデコボコな地平線 |
玉突き事故 | そこではひどい玉突き事故が起きたらしく、ぐしゃぐしゃに潰れた複数の車が黒く焼け焦げている |
ざりっと | 靴裏にざりっとした感触。路面には灰が薄く積もっていて、車のタイヤ痕がはっきりと残っている |
屈める | 巨大化した二体の使い魔は、私たちを庇うように見を屈める |
上端 | そしてその手には、上端に青い玉が嵌められた杖を持っている |
名目 | 手術のお礼って名目で会いに行って、その場で告白したけど──ダメだったわ |
常軌を逸する | そう語るお姉ちゃんの瞳には、常軌を逸した光が宿っているように見えた |
爆ぜる | 耳に届くのはパチパチ薪が爆ぜる音 |
継ぎ足す | とりあえずブラの紐を継ぎ足して延ばせば、苦しさはマシにるんじゃない? |