| これ見よがしに | テーブルの向かいに座ると、これ見よがしに、頬杖をつく |
| 頬杖 | |
| 非業 | そのころの記憶によれば、い“娘”が挙げたような言葉は、発言者が非業の死を遂げる前振りとして多用されているものだったはずだ。そしてもちろん、自分は死にたくない。だからもちろん自分の死の膳立てなど、したくはない |
| 膳立て | |
| つまるところ | ヴィレムはそれなりに背が高くて、少女は小柄で、ついでにいまそこに載せたばかりの帽子のつばは大きくて、つまるところ少女の表情はあまりよく見えない |
| 萎縮 | それが本来の彼女の性格なのか、今のこの体験でテンションが上がっているだけなのかは判断がつかなかったが、少なくとも、妙に萎縮していた先ほどまでよりは年相応に見える |
| ぽりぽり | ぼりぼりと後頭部を掻く |
| てんで | 数ある史書はそれぞれがてんで勝手な「真実」を語るのみで、その中のどれが本当に事実を伝えているのか、あるいはそれすべてが後世の歴史家の妄想に過ぎないものなのか、甚だ問題ではある |
| 甚だ | |
| 勘定 | 金勘定が終わる。 「三万二千。確かに受け取ったぜ」 |
| 日雇い | どうせ馬鹿みてぇに安い日雇いで食いつないでんだろ? |
| 食いつなぐ | |
| 眼窩 | 琥珀を眼窩にはめ込んだような緑鬼族の目が、まっすぐにヴィレムを見ている |
| くだん | くだんの施設のあるという島は、68番。かなり微妙な位置である |
| 跳躍 | 「だうりゃあぁ!」 光が跳躍した。裂帛と言うには多少可愛らしすぎる、気合いの声。 意外なほど鋭い太刀筋で、闇の中から、木刀が突きだされる |
| 裂帛 | |
| 太刀筋 | |
| 木刀 | |
| 賦活 | この手順によって、本来ならば、全身の筋力を賦活し判断力も加速していたはずだった |
| 板張り | 年季の入った板張りの廊下、漆喰の壁、等間隔にいくつも並んだ小さな部屋 |
| 漆喰 | |
| 立ち居 | 立ち居振る舞いは穏やかかつ控えめで、育ちの良さを窺わせる |
| 先刻 | 先刻のパニバルが、「おう、おじゃまする!」にかっと太陽のようにまぶしく笑う少女が、全員が同時に、堰を切ったように喋りだす |
| 堰を切ったよう | |
| 雪崩 | 少女たちが再び雪崩となり部屋の中へと倒れ込んだ |
| ぱちくり | 少女たちは一度だけ目をぱちくりさせた後、ヴィレムの言わんとしたことを察したのだろう、同様に自分たちの唇に指を当てた |
| 珍事 | 囁き合っている言葉の内容から察するに、誰かがここにやってきて留まるということが、これまでに例をみない珍事だったということらしい |
| 大仰 | どう見ても、ただの居住施設。大仰な倉庫らしいものはない |
| 赤ら顔 | 酒癖も悪く、ことあるごとに赤ら顔で「昔は正規勇者だったんだぞ」とホラ話を始めるのも勘弁してほしかった |
| 牧歌的 | 牧歌的というか何というか、当たり前だが、退廃的だった28番島とはだいぶ趣が違う |
| 退廃的 | |
| 哄笑 | どうせそのなんとかいう組織が子供たちにちょっかいを出すなりなんなりして、ナイグラートが壊滅させに行って、その時に血まみれの姿で哄笑してるか何かしてるところを目撃されたとかそういうオチだろう |
| 知己 | しかしまあ、なんだかんだ言ってナイグラートは恩人の一人で、数少ない知己の一人で、いまは同じ職場にいる仲間だ |
| 沸点 | 気が短いところとすぐ手が出るところと沸点が低いところとすぐ人を食いたがるところに目をつぶれば、何てことねぇよ |
| 卓越 | 卓越した剣技で戦場を駆ける少女騎士だとか、聖剣に選ばれし無双なる少女勇者だとか、華奢な体に強大な秘術を刻み込まれた悲劇な少女呪蹟師だとか |
| 遠巻き | だからこうして、遠巻きに中を覗く以上のことはできない |
| 陰り | 謎めいていく、優しくて、どことなく不思議な陰りのある人だと思った |
| 戦慄 | そして次の瞬間には、戦慄した。左足の腿に深い裂傷 |
| あっけらかん | ヴィレムはざっと傷の様子を確かめて、「どっちもかなり深い。すぐに手当てするぞ」 「えー、大丈夫だよー」あっけらかんとした声 |
| 肩書き | 肩書きだけとはいえ、あなたはここの管理役。情報開示を要求されたら、立場上、私は断れないわね |
| 鋲 | 全体が重厚な金属製で、周囲には鋲が打たれていて、鍵は五重にかかるようになっていて、ノブに当たる部分と重たそうな把っ手だった |
| 把っ手 | |
| 副葬品 | 何千年も昔の王族などが祀られていて、副葬品として財宝が詰め込まれていて、しかしそれにつられて盗掘しようとする愚かな者が祟られたりするやつだ |
| 盗掘 | |
| 罅 | の刀身の表面に、罅のようなものが走っているのが見える |
| 牽強付会 | 詭弁と牽強付会は呪術の基礎よ。人間族がいないなら、その代わりを用意すればいい |
| 奥義 | その奥義もまた然り、だ。まともな人間じゃ発動すらできないし、強引にやろうとしても反動に耐えできないし、強引にやろうとしても反動に耐えられない…… |
| 然り | |
| 忠臣 | 両親を、友人を、故郷を、全て灰になるまで焼き尽くされた。その際、焼け落ちる城から忠臣によって一人連れ出されたあいつは、遠く離れた辺境の村で隠遁していたかつての老将軍を頼り、失われていた秘剣技をいろいろと受け継ぐこととなった |
| 隠遁 | |
| 空転 | どうしようもなく膨れ上がった醜い僻み根性を自分の中で空転させているだけだ |
| 赤銅 | 赤銅竜殺し。神韻砕き。白鞘の秘刃 |
| けたたましい | けたたましいほどの金属音をたてて、飛空艇が港湾区画を離れる |
| 愛憎 | すべてを見届ける役っすよ。そこから、嫉妬と愛憎のめくるめく三角関係が始まるっす |
| めくるめく | |
| 罹る | 知っているか?お前達が倣っている過去の勇者連中だが、任務中に罹った特定の傷病についてはきちんと手当が出る仕組みになっていた |
| はたく | 「馬鹿を言うな」額を軽くはたく |
| 摩耗 | 戦力の摩耗を防ぐことの意味は非常に大きい |
| ほぐれる | 魔力が筋肉を固めているからだ。ほぐれれば楽になる |
| 彼我 | 過去十年分の出撃タイミングおよび彼我の投入戦力、最終的な損耗具合がわかる記録を探してくれ |
| 損耗 | |
| 上目づかい | おそるおそる、ラキシュは上目づかいになって |
| 豪快 | 両手両足を豪快に広げ、仰向けに倒れている |
| 滔々 | なにやら滔々と語っている。その姿を見て、かちんと来た |
| かちんと来る | |
| 鏃 | 我ラハ急ギ、鷹ヲ放チ、鏃ヲ磨カネバナラン |
| 嗚咽 | 感情の勢いは、すぐに涸れた。叫び声は途絶え、小さな嗚咽に変わった |
| 呪詛 | 反動は必ず呪詛となり、術者を苛む |
| 苛む | |
| 充血 | ナイグラートの顔は真剣で、しかもなぜか目が充血していて、声が少し震えていた |
| 気功 | 気功医術とかは専門外だからわからないけど。そっちの目で見たら気脈とかがぐっちゃぐちゃになってるって言われるわよ絶対 |
| 気脈 | |
| 丸儲け | ま、もともと生きてるだけで丸儲けの状況だったんだ。贅沢を言う気はねぇよ |
| 施療院 | そのまま施療院に叩きこんでから一月くらい経ったころに、そいつの体の石化は解け、意識も取り戻した |
| わしわし | 借りたタオルでわしわしと頭を拭いてから、クトリは爬虫種の顔を見上げる |
| 塵風 | 構ワン。塵風ノ庵ハ、常ニ誇リアル戦士ニ開カレテイル |
| 益体 | 爬虫種がこんなものを淹れたんだろうとか、そんな実に益体もない疑問がいくつか頭に浮かんだが、とにかく頭の片隅のほうに押しやった |
| 韜晦 | 鈍感系?それとも、韜晦系? |
| 脈絡 | 脈絡なさすぎるにも限度ってものがあるわよ!? |
| 雑多 | 聖剣ってのは、雑多な護符を集めて、呪力線で縛って剣の形に封じ込めた、一種の小世界だ |
| ずしり | ずしりとした重みが手のひらに伝わる |
| 荒廃 | それなりの頻度で、荒廃した地上より侵略者が風に乗り、流れ着いてくるのだという |
| 諳んじる | 何も考えずに済むようにと歴代正規勇者の名を頭の中で諳んじ始めた |
| 逢瀬 | 二人の逢瀬に気を利かせでもしたのか。瓦斯灯の光が明滅し、やがて消える |
| 気を利かせる | |
| 明滅 | |
| 器材 | そのために必要な器材はそれほど高価なものではないため、中型以下のものであれば市井の映像晶館にも設置が可能である |
| 市井 | |
| 異端 | もしや浮遊大陸群に生まれた誰もがあれを楽しめるのが当たり前で、異端となるのは自分一人だけなのだろうか |
| 大上段 | 身内のたことを気にするのは当たり前のことだろうが。愛とかなんとか大上段に構えるほどのもんじゃねぇよ。そういうお前らは心配してねぇのか? |
| 総出 | お前ら、一族総出で今すぐ大陸公用語をゼロから勉強しなおせ |
| 右往左往 | だから不慣れな状況になると何をどうしたらいいかわからなくて右往左往するしかない、と |
| 精悍 | 精悍な顔つきの、フードをかぶった老人の像 |
| 禿頭 | ついでに禿頭で、牙を生やしていて、白衣姿で、黒縁の眼鏡(たぶん特注)の奥の単眼が理知的に輝いていて、肩書は「医者」だった |
| 生やす | |
| 黒縁 | |
| 研鑽 | 限界を超えた速度で地を駆ける技術が要求され、北の果ての地にて生み出され、西の戦場にて研鑽され、そして結晶した |
| どでんと | 部屋の中央にどでんと据えられた机もやたらと大きくて、おそらくはそれに合わせて特注されたものであろう椅子の背も無闇に高い |
| 絶技 | 正式な名を鶯賛崩疾などというらしいこの技術、修められる者は冒険者や準勇者たちの中でもほんの一握りだけという難解なものではあったが、その分、極めれば古霊種の動体視力をすら欺く絶技であるとされていた |
| 卜占 | 卜占ノ導キノ彼方ニ陥穽ガ開イテイタ |
| 陥穽 | |
| 顛末 | 長く危険だった戦いの顛末が、それか |
| 抑揚 | 抑揚の薄い落ち着いた声で、娘は答えた |
| 恫喝 | 口先だけの恫喝でしかない、構えば構うだけ、つけあがらせるだけだと |
| 誅する | 人の世を害する悪を誅することに、なぜ制約が課せられなければならないのですか? |
| 順当 | そこには、意外なようでいて順当で、それでいてやっぱり意外な者の姿があった |
| 幽鬼 | ゆらり、とその体が幽鬼のように揺れると、「こちらへ」勝手に歩き始める |
| ほぐす | 熾した魔力がまだ体内で澱んでるっつーなら、前にやったみてぇに、さっさとほぐすっか…クトリ |
| 追及 | それはあれっすか、語りたくてたまらないから全力で追及してくれって遠回しに言ってるっすか |
| 墓穴 | なんかもう、しゃべるごとに墓穴が深くなってく感じ、なかなかいいっすよ |
| アンニュイ | だーから、大丈夫だってば。乙女にはね、理由もなくアンニュイな気分に浸りたい日もあるの |
| 浸る | |
| ねっとり | 妙にねっとりとした男の声が、聞こえた |
| 初顔合わせ | ええもちろん、初顔合わせになりますとも |
| 道化 | 精一杯気障に振る舞おうとしているけれど、慣れていないので不自然な道化になってしまう |
| 気丈 | 気丈に振る舞おうとはしているが、フィルの声は震えている |
| お歴々 | この騎士団のお歴々は、呪脈視の心得がないらしい |
| 遠吠え | どこか遠くから、何かの獣の遠吠えが聞こえる |
| 外連 | もっと安全なやり方はいくらでもあったでしょ?外連みを利かせたかったとか、そういうふざけた理由? |
| 針金 | 針金を縒ったような細かい体。黒い日除け眼鏡。獣人にしては珍しく顔立ちは人間のそれに近いが、白い長髪と、同じ色の細長い耳介が明らかにそれとは違うという徴になっている |
| 縒る | |
| 日除け | |
| 細長い | |
| タラップ | 妖精たちについて艇へと走り込む。係員が悲鳴を上げる。タラップが上がる。回転翼がけたたましい音を立てる |
| 回転翼 | |
| けたたましい | |
| 乱雑 | それは乱雑なイメージ。支離滅裂な迷妄。押しつけがましい白昼夢。知らないはずの過去の影。拭い去られたはずの魂の汚れ。自分と背中合わせの誰かのつぶやき |
| 支離滅裂 | |
| 迷妄 | |
| 押しつけがましい | |
| 根差す | 本能に根差した欲求は強いのよ |
| 朗らか | いつもにこにこにやにやにまにまにたにたと、あまり上品ではない方向に朗らかに死んでいたはずなのに |
| 布地 | 銀色に光る布地 |
| こめかみ | だから、流れ出た涙は、こめかみを伝って耳のほうへと流れていく |
| 士気 | そして、先の見えない戦いは、そうでなくても士気を消耗させる |
| 凱歌 | ダガ、ソノ間ニ他ノ島ヘノ被害ガナケレバ、凱歌ノ芽ガ見エテクル |
| 刀身 | 刀身に走った無数の罅が、その隙間を広げる。魔力の昂りを示す淡い光が、その隙間からあふれ出す |
| 昂り | |
| 蔦 | 刀身に触れた蔦の内側を巡る魔力をセニオリスに覚えさせる |
| 気色 | ああもう、本音タダ漏れで気色悪いったらないっすねあんたは |
| 随一 | 例えば大陸群随一の蔵書を誇るとされるセナート大図書館をひっくり返して、最も古い史書を探し当てたとしよう |
| 蔵書 | |
| 疑念 | 咎めてはおらんぞ。疑念があるなら、問うがいい い、いえ!揚げ足を取るような言葉遊びでしかありません、どうかご容赦を |
| 揚げ足を取る | |
| 猛者 | 大賢者様以上の猛者と言われましても、とても想像が届きません |
| 郷愁 | 失われたものは、戻らんのだ。かの時代の記憶、かの時代の者の思い出は、すべて儂の郷愁に過ぎん |
| 応接 | 黒髪の青年が応接用の机に片肘をついて、退屈そうにあくびをしている |
| いかつい | いかつい顔の老人が、すっとんきょうな声をあげる |
| すっとんきょう | |
| 進捗 | 何せ本業が、進まないのが前提になった研究なんだ。進捗報告すら時間と紙の無駄にしかならないだろ |
| お門違い | 領土拡張のための遠征なんてものはお門違いもいいところだ。しなくてもいい戦いに、あいつらを使い捨てるな |
| 生き恥 | 俺は勇者になれると本気で信じてた。けれどそうじゃなかった。だから、今、ここでこうして生き恥を晒してんだよ |
| 偉丈夫 | なぜ天を衝く偉丈夫であった黒燭公が、このような愛嬌と威厳を兼ね備えながらも謙虚な姿へと落ちてしまったのかと |
| 愛嬌 | |
| 兼ね備える | |
| 謙虚 | |
| 鷹揚 | ヴィレムは鷹揚にうなずき、「さすがにどこぞの頭蓋骨ほどじゃねぇが、俺の体もこいつとの戦いからほとんど回復してねぇ |
| 寸毫 | まともな思考とは思えんな。懐かしいぞ、お主はあの時と寸毫も変わらぬようだ |
| 意趣返し | てめぇこのやろう、さっきの意趣返しか上等じゃねぇか |
| 穂先 | 錆びただけの鉾なら使いみちもあろうが、穂先が砕けてしまってはそれもない |
| 日持ち | ああ、日持ちするように強めの香草をいれといてはもらったけどな、早めに片付けてやってくれ |
| 惰眠 | もヴィレムの名も、惰眠をむさぼりにむさぼりまくった頭を覚醒させるにはまだ足りなかったらしい |
| 擲つ | その存在のすべてを擲って、正しく生命を持つ者たちのために戦う兵器 |
| 社交辞令 | 何でもない。大丈夫。自分は冷静だ。そんなあからさまな社交辞令を本気にとったりはしない。ああ、しないとも。それはそれとして、後一日度、あのパン屋には改めて挨拶に行っておくべきかもしれない |
| 免状 | 総合学術院で基礎医術と調理の免状をとったときに一緒にもらったの |
| 才媛 | その両方を修めた才媛だからこそ、ナイグラートはたった一人で、ここの兵舎の管理を任されていたということか |
| 毒素 | 毒素や瘴気にすぐに反応し、黒く変質してしまう |
| 瘴気 | |
|
女官 |
ナヴルテリは砂流連邦で出会った美女との思い出を語り、次々と次々と女官にてを出すこと(と恐妻家であること)で有名な皇帝陛下は新しく入ったメイドの初々しさを夢見る少年の瞳で語り始めた |
| 恐妻家 | |
| 初々しい | |
| 体裁 | つまりこの謹慎護翼軍の中と外のどちらに向けてかはわからないが、体裁だけのもの |
| 図体 | 素子かとはいうものは、一種の生き物だ。図体の大きくなってしまったそれは、自身を生かし続けるためだけに、余計な苦労と理不尽を必要とする |
| 直談判 | ついでに、さっき直談判して、俺の席もねじこんでもらった |
| 名分 | 秘書という名分で、愛人を連れ込んでんだよ |
| 箍 | 久しぶりに妖精倉庫の仲間と会ったことで、心の箍が外れでもしたのか。話せば話すほど、言がぐちゃぐちゃに乱れていく |
| 陳腐 | 甘いな。真の悪にはそのような陳腐なプライドは要らねぇんだよ。いつでも自分に優しく。ついでに自然とかにも優しく。悪の名乗るなら、このくらいは大前提だな |
| 大前提 | |
| 猛る | その全身に、静かに猛る魔力が充溢しているのが見える |
| 充溢 | |
| 闖入 | 小さく笑ってクトリに背を向ける。空気の読めない闖入者だが、少しだけありがたいとも思っていた。これで、このままここでろくでもないことを考え続けているよりは、まだマシな時間が過ごせる |
| 伝声管 | 伝声管越しに、操舵室のグリックが叫び、姿勢制御管を幾つも引き倒しながら舵輪を強引に切る |
| 操舵 | |
| 舵輪 |
| 貫禄 | その姿には確かに、父と呼べるほどの威厳も貫禄も感じられなかった。けれど。 |
| 肥沃 | どこまでも続く肥沃な大地などというものは、たとえ知識としては理解できても、想像力の及ぶところにないのだろう |
| 痛罵 | 嘘や痛罵のように、伝わることで初めて意味を成す『攻撃』だってあるし、あらゆる言語を理解してしまうということはそれらの『攻撃』がすべて直撃するということに通じる |
| 高潔 | 悪魔というのは、高潔な人間を堕落させることに特化して存在する精神体種族だ |
| 詐称 | 黄金妖精は、命の贋物。聖剣を騙すために人間を詐称する。そこに本当のことなど、何もない |
| 生業 | 危険と冒険は類義語であり、冒険を生業とするということは危険を生業にすることと等しい |
| 臓腑 | 鎧の上からでも相手の臓腑を破壊してブッ殺すってぇ技だった |
| 刃渡り | 刃渡りは、せいぜい自分の腕の長さくらいまで。重さは、片手で苦労なく振り回せる程度まで |
| 底上げ | 弱っちい人間という種が精一杯に背伸びをして、それでも届かないものに無理やり手を届かせるために使う底上げ靴だ |
| 熊掌 | 赫杖からの熊掌。狐尾からの針肘。鶯賛崩疾からの戯鐘鉄鼓 |
| 撥水 | ヴィレムの背後に、いつの間にか、黒い撥水ローブを着た男が立っていた |
| 無精 | 燃えるような赤毛と、無精ひげを生やした三十がらみの男の顔が露わになる |
| 疑心暗鬼 | 準勇者同士が互いに疑心暗鬼になっても構わないと判断されたということ。造反者の特定よりも、警戒させてその動きを鈍らせることを優先してるわけか |
| 造反 | |
| 画布 | 画布の中に込められた星神たちの似姿は、もちろん何も語ってはくれない |
| 似姿 | |
| 横着 | 剣の性能を落としたまま戦い続けたのでは、横着のせいで手間が増えるという本末転倒な自体にもなりかねない。しょうがねぇな。陽炎の走法で敵の群れから距離をとり、右手の聖剣に魔力を通す |
| 本末転倒 | |
| 走法 | |
| 無手 | 自ら望んで無手の技のみを使い前線に立とうとする、極めつけの変人にして卓絶の武技使い |
| 卓絶 | |
| 脂汗 | 痛みをこらえているのだろう、脂汗をたっぷり浮かべながら、テッドは笑う。その根性だけは認めてもいいような気がしてくる |
| 荒縄 | そのついでに、荒縄でぐるぐる巻きにした襲撃者たちを引き渡した |
| 加護 | 運がよかった、星神様のご加護だ、とグラシス夫人は感涙しながらしきりに繰り返していた |
| 感涙 | |
| 生殺与奪 | それはそれで、生殺与奪の権を握られていただろうことには変わりないが |
| 懐炉 | 私は、懐炉じゃない |
| 憩い | 昼の間、そこは市民の憩いの場のひとつとなっている |
| ちらほら | 寒いと思ったら、ちらほらと、雪が降り始めている |
| なだらか | なだらかな坂道と、あちこちの道へとつながる短い階段。夕方の住宅街に特有の、かすかに漂う香辛料の香り。人通りは少なく、家路を急いでいるはずの人々かなぜかその中の何人かが、道端に足を止めて、立ち尽くしていた |
| 道端 | |
| 鳩尾 | 再び男性の体に覆女性だったものの鳩尾に、重ねた双掌を正面から叩き込む |
| 依怙地 | 『依怙地だねぇ…ま、それはそれとして』くるり、と空魚は少女の周囲を周り |
| 松明 | 人類を救う希望であるところの聖剣が、松明代わりである |
| 望郷 | お前たちの望郷が、この地に何をもたらし、何を奪った |
| ことり | 虚空に差し伸べられた手が、ことりと落ちた |
| 妄執 | 行き場を持たないそれは、すぐにただの妄執へと代わり果てた。ただひたすら故郷を想い、望み、願い続ける |
| 荒み | それがよ、八十年ばかり放ってただけで、すっかり荒みきっちまってよ |
| ずるり | 聖剣セニオリスを杖代わりにして、なんとか持ちこたえる。ずるり、ずるり。足を引きずるようにして、一歩ずつ、前に進む |
| 四苦八苦 | 星神の魂の欠片は、人類という種を創造する素材のひとつであり、人類を破滅から救う鍵である。真界再想聖歌隊はこの救済を現実に行うべく、四苦八苦してナヴルテリの持ち込んだ骸から魂を抜き出すと、千々に砕こうとした |
| 千々 | |
| 突破口 | 一連の研究の成果が多くの病への突破口になりうると気づいた医師組合が、土壇場になって研究者の何割かを引き抜いてったこと |
| 土壇場 | |
| 暗澹 | 序盤を見ただけで、暗澹とした気持ちになった。この子もまた、これまでの妖精たちと同じなのだ。楽しいことを知らず、幸せになることを望みもせず、ただ短い命を使い捨てるだけの生涯を送るのだと、そうわかってしまった。その諦めは、間違っていなかった。そのままであれば、彼女は確かに、その通りに生きてその通りに死ぬはずだったのだから。転機は、みっつ |
| 転機 | |
| 純然たる | 彼は純然たる人間だ。〈月に嘆く最初の獣〉の魂魄体だとかいうあの黒いナニカを注ぎ込まれて、無事に自我をつなぎ留められている理由などない |
| 魂魄 | |
| 鹵獲 | そして、地上に降りて鹵獲してきたばかりの獲物を、国防軍の研究技官たちに引き渡すことができる |
| 怯懦 | 何も間違っていないということはつまり正しいということで、自分の迷いは恥べき怯懦でしかなかったということか。 「わ、わかりました、先程自分が具申したことは忘れてください」 |
| 具申 | |
| 縮図 | それぞれの円がそれぞれに、ひとつずつの世界の縮図として描かれている |
| 膂力 | こうして創られた世界の壁は、いかなる膂力をもってしても、破れることはない |
| 塗装 | 塗装は少し剥げたでしょうし、後で、整備班にどやされるかもしれませんが |
| 軟泥 | 夜闇の軟泥が、瞳を包む |
| くぐもる | 被甲人の史学教授が、聞き取りにくいくぐもった声で、言ったのだ |
| 勧善懲悪 | もしもこれが勧善懲悪の創作物語の話だったなら |
| 制覇 | 代わりに、この遊びを制覇することで溜飲を下げてやろうと心に決める |
| 溜飲 | |
| 温存 | 得点力のある人は、試験後半まで温存しとくのがセオリーね |
| 乱読 | 地上の人間種たちが使っていた言葉の研究書も、もともとは、妖精倉庫きっての乱読お化けであったネフレンが一時期はまっていたものである |
| 強弁 | 予想以上の強弁に、本音がそのまま口から漏れてしまった |
| 滞空 | 地上の砂の遥か上、薄絹のような雲の中に埋もれるようにして、飛空艇が滞空している |
| ひったくる | 紫小鬼は礼も言わずにそれをひったくると、まどから身を乗り出すようにして地上を見下ろす |
| 快哉 | 悲鳴とも快哉ともつかない、そんな大声をあげた |
| 豪奢 | 壁紙には豪奢な花模様が描かれているし、天井は高いうえにシャンデリアめいたものが吊り下げられているし、窓のカーテンはやたらと分厚くて高そうな生地を使っているし、調度にはやたら金色の装飾が施されているしで、つまるところ成金趣味丸出しの空間である |
| 成金 | |
| 元手 | 半年ほどで退役したが、当時の人脈や資産を元手にしてサルベージャー稼業を始めたと |
| 稼業 | |
| 兵糧 | 君たちが地上で発見した野営跡および兵糧の缶は、彼の国の国防空軍のものだ |
| 蟠る | 人間を〈獣〉へと変える…あるいは還すこの衝動は、人間には似たネフレンの中に蟠ることはあっても、その本質を変えていくには届かない |
| 敏捷 | わたしたち妖精にとって、敏捷性の維持は有意義なことだよ。これも特訓の一環だ |
| 身辺 | 勝手ながら身辺を調査させて頂いたのですが、驚きました |
| 厩舎 | あれではまるで、潰れかけた農場の厩舎だ |
| 太っ腹 | あら、太っ腹なのね |
| 凄艶 | その姿を見て、喰人鬼は優しく穏やかに、そして凄艶に笑った |
| 逼迫 | それだけ目の前の状況が逼迫しているのだろうか |
| 天衣無縫 | 幼い妖精たちは基本的に天衣無縫というか破天荒というか、とにかくそういう方向で元気な子ばかりなのだが、ラキシュはその中の数少ない例外だ |
| 破天荒 | |
| 号泣 | 間に合わせの応急処置だが、何せ俺の仕事だ、そうそう簡単にゃ解けねぇようにしてある。号泣して感謝しろ |
| 風来坊 | そりゃどんな風来坊だ。助けられた立場で言ってはいけないことかもしれないが、後に残された者のことを少し考えて欲しい |
| 波瀾万丈 | “ミンチュエットの一族”が波瀾万丈の時を過ごした…そのすべてを自分たちはずっと、憧れの目でいた |
| 壮麗 | 壮麗な建物をひとつ、見つけてしまった。コリナディルーチェ市中央大書館 |
| 重厚 | どういう由来のものかはわからないが、そう思わせるだけの重厚で不思議な迫力がその老人からは感じられた |
| 風変わり | さすが歴ある大都市、これほど風変わりな御仁が普通に街を歩いているとは、色々な方向で想像を超えてくる。 「あ…はい。お気遣いどうも」 おずおずと、差し出された手を借りて、立ち上がった |
| 御仁 | |
| おずおず | |
| 傅く | その隣を歩きながら──なんだか王に傅く侍女のようだと思いながらラーントルクは「はぁ」と気のない返事をする |
| 諌める | 子供の悪戯を諌めるような、優しくも厳しい口調。当惑した顔をしていた老人は、しばらくの沈黙の後に、突然爆発するように笑い出した |
| 当惑 | |
| 良識 | あんたはいわゆる良識家だし、育ちがいいし、世の中はどちらかというと善人のほうが多いと信じてるようなタイプだ |
| のほほん | あたしらは、すべての浮遊島に住む普通のひと全員に、何も知らずにのほほんと日常を過ごしてもらうために、こっそり命を張ってるんすよ |
| 意匠 | もう一人その隣に、兎徴人の軍人が立っている。肩の階級章を見ると、意匠されているのは盾と大鎌。確か憲兵科の証だったと思う |
| 隠居 | 市長と、軍のご隠居。なんでまたそんなものがこんなところでコソコソと顔を合わせていて、しかもその場に自分も呼ばれるのだろう。いまいち話の流れが理解できない |
| 屈指 | 浮遊大陸群でも屈指の歴史を持ち、人口も多い |
| 伝聞 | らしい、というのは、それが伝聞だからだ。彼は自分の名前を、いや自分についての何もかもを、覚えていない |
| 奇矯 | 「ふむう、高等死靈術とはな。学生の自由研究にしては奇矯なテーマを選んだものだ」 「いえ、そういう身分ではありませんし、勉学というほど殊勝なものでもないんです。未来に備えるつもりもなくて、ただ、今知りたいというだけで」 |
| 殊勝 | |
| 要諦 | なるほど。なかなか要諦を突いた問いかけをするものだ。善哉善哉 |
| 善哉 | |
| 常命 | それを人間という常命の殻の中に封じていたことで、それらは変質した。悔恨。希望。正義。優しさ。恐怖。無関心。無知。…そういった、人を死に誘う様々な要因に引きずられ、十七種の死を象徴するような存在へと変わっていった |
| 悔恨 | |
| 焜炉 | ヴィレムは苦笑いしながら厨房に入り、瓶から汲み置きの水を鍋にすくい、晶石焜炉にかける |
| 見立て | このへんの肉の見立てには自信があります、なにせ私は喰人鬼ですから |
| 食い詰める | そしてもちろん、食い詰めた野盗にとっては、備蓄されているはずの酒や食料も魅力に見えることだろう |
| 野盗 | |
| 備蓄 | |
| 手合い | 春が近づくと増えるんですよ、そういう手合い |
| 古巣 | それどころか、古巣に戻ってきたかのような一種の懐かしさすら抱いている |
| 顕在 | 記憶を封じて〈獣〉が顕在化するのを防ぐ。言うのは簡単だけど、これ、もんのすごい荒業よ |
| 荒業 | |
| 通俗 | 内容は既刊と同様で、通俗かくあるべしという見本のようだった。「偽りのない気持ち」を大義名分に、作中の誰も彼もが道ならぬ略奪愛に見を捧げている |
| 大義名分 | |
| 悲恋 | この物語に登場する恋愛関係は、ほぼほぼ悲恋になる |
| 密偵 | 推移や大きな資金の動きを見極めるための密偵としてだ |
| 老舗 | 普通に店を構えている、老舗の帽子屋だった |
| 拍車をかける | しかしそれでも、報告が入ったならば動かねばならない…そう考えて動く真面目な軍人たちが、さらに混乱に拍車をかける |
| 初陣 | これが誰かさんの初陣になるってのが、ちょいと不安っすねぇ |
| 秘密裏 | 秘密裏に、エルピスが〈獣〉をこの浮遊島に持ち込んだ |
| しかめる | 説さすがに愉快な話ではないからか、明しながらアイセアはすこしだけ顔をしかめる |
| 炸裂 | 久しぶりに、さっぱり意味のわからないトカゲ節が炸裂した |
| 凄惨 | いろいろな種族のいろいろな骸が、壊れた人形のように、街路のあちこちに転がっている。客観的に言って、かなり凄惨な眺めだ |
| 痛痒 | 左手で戦槌の柄を握り直すと、まるで痛痒を感じていないかのような動きで、いま右腕をちぎり飛ばしてくれた〈獣〉を叩き潰す |
| 縒り糸 | 金属鎧の右腕の中には、無数の縒り糸に身を縛られ鎧のリベットに固定された、一人の少女が入っていた |
| 根回し | 根回しがしっかり終わる前にやってることがバレたら、関係者全員その日のうちに牢屋行きだしなぁ |
| 雄叫び | 至近距離。三人目の妖精の、力強くも可愛らしい、雄叫びの声 |
| 蛇足 | 蛇足に蛇足を重ねてここまで続いてきた、このヴィレム・クメシュという落第勇者の物語に、ようやく終止符を打つことができる |
| 終止符を打つ | |
| 秘境 | エルク・ハルクステンが帰還した。この事実は、浮遊大陸群最大の秘境にして静謐なる聖域である2番浮遊島を、ほぼ文字通りの意味で大きく揺るがした |
| 静謐 | |
| 秒読み | 「でも、その秒読み、まだのこってるし」 『何なのその刹那的な考え方!?ちょっとちょっと黒燭公、アンタからも何か言ってやってよ』 |
| 好々爺然 | 好々爺然と笑い、頭蓋骨が何度も頷く |
| 雛形 | ここって原始世界の雛形のアーカイブでもあるから、肉体と精神を軽い混交状態にできるのよ |
| 混交 | |
| 折衝 | オルランドリ商会に出向して妖精倉庫および遺跡兵装関連の経理や折衝を一手に引き受けている |
| 経緯 | この後めちゃくちゃ波瀾万丈な経緯をたどることになるし、何度も折れそうになるっていうかぶっちゃけベキベキ折れるけど、それでもちゃんと完結まで走れる未来があるから |
| 斜陽 | この斜陽の世界の物語にお付き合いくださいませ |
| 神代 | 個体それぞれが長命であること、種としての歴史が長いこと、神代の技術を現代にまで伝えていることなどから、軍部などの正式な書類では「古霊族」「古い霊諸族」などと表記されることが多い |
| 茅舎 | 小さな茅舎の中で、じいやに言われた |
| じいや | |
| 湯気 | その体から湯気が立ち上がっているように見えるのは、おそらく錯覚などではない。ずっと激しく動き続けていたのだろう、まだ肌寒い季節だというのに、少年の全身はびっしょりとあせに濡れ、足元の土に黒い染みを作り出してすらいる |
| 肌寒い | |
| ちゃんばら | ぱっと見た感じだけなら、ちょっと高度なちゃんばら遊びのようでもあった |
| 技量 | しかも惜しむらくは、どうにもこうにも、この少年の技量が足りていないことだ |
| 死霊 | 絶えず吠え猛る風は死霊の怨嗟であり、熱を持つすべての生き物を凍え殺さんとする呪いの顕れだ。世界に果てがあるならば、それはこの場所に違いないと。この手の詩吟にありがちな話だが、もちろんこれらの言葉は正確な事実を表すものではない |
| 怨嗟 | |
| 詩吟 | |
| 傲岸 | そして、あちかも何千年もの昔からその姿であったかのような傲岸さで、その場所に居座るのだ |
| 最奥 | その最奥部にまで攻め込むということは、人を食らう化け物のはらわたの中にまで自ら飛び込んでいくに等しい |
| はらわた | |
| 絶世 | 絶世の美姫のはず。決してこんな、どう見ても小生意気なだけの小娘などでは! |
| 美姫 | |
| 巾着 | 周囲に誰もいないことを確認し、懐から巾着を取り出す |
| 遂行 | つまり、彼らは本心から、正規勇者が人類を救う使命を遂行してきたことを喜んでいるのだ |
| 清廉潔白 | 清廉潔白で爽やかで明るくて、弱き者の盾として戦うことに本気で生きがいを感じていて、いかにも「勇者」という肩書きに恥じそうにない男。 |
| 羅紗 | 大理石の白に羅紗の赤、これでもかとばかりに絢爛に彩られたあの空間が自分の帰るべき場所だとは、あんまり思いたくないのだ |
| 絢爛 | |
| 不肖 | ヴィレム・クメシュは、リーリァの剣の兄弟子である。それも、不肖の兄弟子というやつだ |
| 資質 | ただそれだけの理由が、祝福を呪いに変えた。資質だったものを才能の欠落に変えてしまった |
| 欠落 | |
| 首根っこ | ヴィレムの首根っこをひっつかんだまま、その二つの街区をまたぐようにして延びる、鷲獅子通りと朱蜥蜴通りとを往復した |
| ひっつかむ | |
| 越冬 | っと、そういや誘われてたな、皇帝陛下主催の越冬パーティ |
| 奇抜 | 可愛らしい小物も、奇抜な衣類も、鮮やかな色彩の壁飾りも、それ自体には大した魅力を感じられなくなってしまった |
| 食い扶持 | そこでも出てくるのが、冒険者たちの第二の食い扶持、地下迷宮である |
| 漂白 | それらは言わば、汚れを漂白された、純白のキャンバスのようなもの |
| 帝王学 | なんかこう、偏った帝王学が聞こえた気がしますが、気のせいだったことにします |
| 剣戟 | 剣戟譜、というものがある。平たく言ってしまえば、剣の試合の記録だ |
| 残滓 | 無数の奇蹟、その欠片の残滓を、人が人の身でなんとか再現しようとして組み立てた模造品 |
| 坩堝 | 水の流れない世界で水車が回らないように、炎のない世界で坩堝が鉛を溶かさないように、呪蹟の働きに必要な要素の欠けた世界では、呪蹟はただの捻れた落書きにしかならない |
| 超絶 | どれだけ超絶的な力を誇る戦士、たとえ不死に近い者であろうと、心を壊されてしまえば関係がない |
| 壮絶 | なんだかんだで壮絶な人生送ってるよね、ヴィレムって |
| 直伝 | いや、まぁ、確かにうちの師匠の直伝だ、普及してたわけじゃねぇのは確かだな |
| 盛況 | 混んでいるとは言い難いが、空いているとも言いづらい、微妙な盛況ぶり |
| 臙脂色 | 白いシャツに臙脂色のチョッキ |
| 悲壮 | どことなく、悲壮な覚悟を感じさせる横顔を浮かべる |
| 篤実 | 変なことを考えるし、妙なことを企んだりはするけれど、なんだかんだで篤実な人だ |
| 激辛 | 先程激辛紅茶を流し込まれて荒れた胃が、きゅるると切なげな声で泣く |
| 表裏一体 | 信じたいって気持ちは、まだ信じ切れていないっていう事実と表裏一体 |
| 眉間 | 何の話かわからない、という顔でヴィレムが眉間にしわを寄せた |
| 拵える | ちびっこたちと戯れる泥だらけの彼と、厨房で甘いものを拵えるエプロン姿の彼を思い出す |
| 鎌首をもたげる | ついさっき克服したはずの不安が、また、むくむくと鎌首をもたげてくる |
| ジンクス | セニオリスの使い手は、必ずひどい目に遭う。そんな嫌なジンクスを思い出す。けれど、その二人のことを不幸せそうだとは感じなかった |