
| 柔和 | その美しく柔和な唇をほころばせて、心から安堵を浮かべる王塚さん |
| 勇み足 | そうかすべて私の勇み足だったのか…… |
| ドバドバ | 世間の承認をドバドバ注がれて育てられた王塚さんは、そういう不安とは無縁に生きてきたんだとばから |
| おこがましい | ま、ま!天下の王塚真唯の支えになりたいなんておこがましいっていうか、釣り合いが取れていないとは思いますが! |
| むずかる | 真唯はむずかる幼児をあやすように、優しく微笑んだ |
| ぎくり | ぎくりとした 。 風に吹かれ、金髪の一房の薔薇のように咥えて不敵に微笑む真唯に、ぎぎぎと顔を向ける。唇を尖らせたままうめく |
| 机上の空論 | 「私の恋人になるのは、初めての相手が最後の相手と決まっているからな」 「机上の空論んん!」 |
| 折衷案 | 「ならば、折衷案といこう」 「……なにそれ」 |
| たぷたぷ | ぬるめの湯に体を浸して、わたしは最近妙に膨らんできた胸を、持て余すようにたぷたぷと手で揺らしながら |
| ぶくぶく | お湯に口まで浸かって、ぶくぶくと泡を立てる |
| 帳尻が合う | とはいえ、私たちはこないだまで二ヶ月も友達だったんだ。ちょっとくらいは、恋人デーを重ねなければ、帳尻が合わないと思わないか? |
| 思い上がり | ああ、なんかもう、親友とか恋人とか以前に、なんでもうまくいくと思っている真唯の思い上がりを、ぶっ壊したくなってきた…… |
| 佇まい | 堂々と佇まいは、まさしく女王の貫禄 |
| 貫禄 | |
| キョドる | 紫陽花さんに話を振られて、一瞬フリーズ。キョドりながら手を挙げる。 「も、ももも、もちろんお供しますよ!」 「え、れなちん、今なんか声バイブってなかった?」 「めめ滅相もない」 |
| バイブ | |
| 傍目 | 傍目には険悪なふたりだけど、紗月さんと真唯は高校以前からの友達らしく、ケンカするほど仲がいいのだ。ケンカするほどっていうか、紗月さんが一方的に真唯に嚙みついてるだけっていうか……。最初のほうはヒヤヒヤしてたけどね |
| ヒヤヒヤ | |
| 産毛 | 耳元に真唯の吐息がかかってね産毛が逆立つ。こんな人前で!? そういやさっき、私は構わないとか言ってた! カチコチのわたしのお腹に後ろから手を回してきて真唯が笑う。 「最近、れな子が私の推しなんだ」 お姫様のゾクっとするようなお言葉に、紫陽花さんは笑って、紗月さんは塩対応。香穂ちゃんが「なんでー!?」と驚きながら真唯に迫り、頭を乱暴にぐしぐしされていた。 |
| 逆立つ | |
| カチコチ | |
| ぐしぐし | |
| 言論 | あらゆる言論を封殺するようなスマートな笑みを浮かべて感謝してくる真唯に、わたしは拳を握ったままうなる |
| 封殺 | |
| 浅瀬 | だから、まずは浅瀬で体を慣らすみたいに、あまりデート感のないデートということで、手近なカフェに寄るのはどうだろう、と提案したのだ |
| 我が物顔 | びっくりして完全に足が止まったわたしをずりずりと引きずって、真唯はホテルを我が物顔でずんずんと進んでいった |
| ずんずん | |
| ふかふか | てか、プールの中にあるカフェのくせに、イスがふかふかのソファだったりするの、すごいな…… |
| ぱしゃぱしゃ | ぱしゃぱしゃと水音が聞こえてくる |
| 地団駄を踏む | ああもう、あいつ! あいつー! 地団駄を踏む。きょうはほんと、最後までやられっぱなしだった |
| 似つかわしい | 唯一変わっているのは、女子の部屋には似つかわしくないテレビとごつい据え置きゲーム機 |
| ごつい | |
| ひけらかす | 部屋の中を見せるのは、自分の脳内をひけらかすのと同じだと聞いたことがある |
| じんわり | その真剣な横顔を見て、胸がじんわりと温かくなる |
| グロテスク | やってることは、女子高生ふたりがグロテスクなゾンビを撃ち殺しているっていう、人様にお見せできない光景なんだけどね! |
| 相好を崩す | ニコニコとそう答える紫陽花さんに、全身がマッサージされたみたいにわたしもへにゃりと相好を崩した |
| 芳醇 | ふわりと芳醇な薔薇の香りが舞ったような気がした |
| チリチリ | そのストレスの発言も、お母さんはもちろん気づかず、そんな大層な娘ではないのに、とでも言いたげに首を傾げたままだったけど、わたしのうなじはチリチリと熱い |
| つるむ | 別にクラスでつるむだけならなんだっていいけど、わたしの願う『親友』はそういうんじゃない |
| バッキバキ | ゲーマーとしての自信がバッキバキにへし折られてゆく |
| 達筆 | 勝っつ気満々だったらしい真唯の広げた紙には、達筆でこう書こかれていた。 読み上げる。『れな子をギュッとしたい』勝訴の紙を見せつけてくるような満足げな真唯に、半眼を向ける |
| 勝訴 | |
| 末端 | わ、ほんとだ。手冷たいね。末端が冷えると、よくないこと考えちゃうって言うよ? |
| ガヤガヤ | 学校帰りの生徒たちでガヤガヤと騒がしい中、真唯はニヤニヤと口の端を吊り上げる |
| ルーズリーフ | わたしはミルクティーのカップをテーブルの端に寄せ、ルーズリーフと筆箱を取り出す |
| 箇条書き | わたしは友達になったらしたいことを箇条書きにするから、真唯は恋人になったらしたいことを箇条書きにして見せ合おう |
| 大言壮語 | 大言壮語もいいところだ |
| 受け流す | わたしの煽りも微笑みだけで受け流す真唯。さすが頂点に立つ女は妬まれ慣れているからか、煽り耐性もめちゃくちゃ高かった |
| さしずめ | 賑わしい喫茶店の喧騒が一瞬が一瞬聞こえなくなり、わたしはさしずめ姫に見初められた平民の少女 |
| 華やぐ | 華やいだ笑みとともに、真唯はもう片方の手を胸に当てながら |
| つきっきり | 方法を知りたいのなら、一晩つきっきりで教えることもやぶさかではないのだが |
| 串刺し | 次のお出かけで決める。沼なんかじゃない、落とし穴だ。一撃で真唯の胸を串刺しにするんだ |
| 遠出 | もちろん普段は地元か、あるいは遠出してもせいぜい新宿程度のわたしだけど、きょうは意気込みが違う |
| 意気込み | |
| きっかり | 持ち合わせの一三時のきっかり五分前、人混みの中から芸能人のような長身の美女が現れる。真唯だ |
| まかり通る | 都合よすぎでしょ。そんな人生まかり通っていいの? |
| 快活 | にっこりと快活に答えると、真唯はなぜか照れていた。 「……そ、そうか。まあ、なら光栄な話だな」 軽口を叩き合いながら向かう先は、すぐ近くにあるお台場の名所、オダイバープラザだ |
| 軽口を叩く | |
| 虚勢を張る | 真唯は虚勢張るわたしを熱っぽく見つめてきていて……し、信用されてない!? |
| 破局 | 金銭感覚の不一致は、破局の原因のひとつなんだからな! |
| ぐっしょり | 絶世の美女が頭からつま先までぐっしょりと濡れそぼっているのだ |
| 濡れそぼつ | |
| 算段 | ショッピングモールの案内図を見てどの店に行こうかと算段をつけて戻ると、真唯もちょうど電話が変わったようだった |
| 豪勢 | シャワーと着替えのためにホテルの一室を借りるとか、お金の使い方が豪勢だ……。まあ、それは今さらか |
| 割り勘 | 友達だからできれば割り勘にしたいけど |
| ずっしり | ずっしりとした重い沈黙が隣から伝わってきた |
| 精力的 | ああ、精力的に海外を飛び回っている |
| 肉欲 | わ、わかった、安心して真唯。他の誰が幻想を抱いていても、肉欲まみれのおかしなやつだって、わかっていてあげるから |
| みぞおち | 真唯が高身長から繰り出すパワーで、わたしのみぞおちをがっしりと押さえつけてくる。人体急所 |
| しっとり | 二度目からかねマシュマロみたいな真唯の唇の、しっとりとした柔らかさがダイレクトに伝わってくる |
| なし崩し | このままじゃ。なし崩し的に恋人リストを上から順番に達成していくことになる! |
| コクコク | うまく切り抜けられた! わたしやるじゃん! と、この場の機転に満足してコクコクとうなずいていると、気づく |
| 水揚げ | 水揚げされた魚みたいに、わたしは身動きを取れずにいた |
| 所作 | 容姿が異様に整っているとか、所作が美しいとか、そういうレベルの問題じゃない |
| 失点 | 失点にうなだれていると、そこも突っ込まれてしまった |
| うなだれる | |
| 切れ長 | そんな彼女は切れ長の瞳をすっと細めた |
| じゃれつく | 真唯が顔を近づけてくる。斜め下から、まるでじゃれつく犬みたいだ |
| 搦め捕る | このまま一生、あの女の手管に搦め捕られちゃうぞ |
| 長蛇 | ていうか待ちの列が長蛇すぎて、順番が回ってくることなんてめったにないわけで、急遽その列を無視して手を引っ張られるなんて、バックステージパスいつもらった? |
| そそくさ | 手を伸ばすけれど、彼女たちはそそくさと立ち去っていってしまった |
| ガッツポーズ | やった! わたし大正解! 内心でガッツポーズを取る |
| ガミガミ | 私、ちっちゃい弟がいるって言ったでしょ? 家ではガミガミ叱ってばかりでさ |
| 虫の居所が悪い | たまたまその日、向こうの虫の居所が悪かっただけの話 |
| 辟易 | もしかしたら真唯みたいに、紫陽花さんも周りから押しつけられるイメージに辟易していたのかもしれない |
| 後光 | 笑顔が輝いて、背中には後光みたいな羽根が見え隠れする |
| 邪険 | そんなことを言われると、邪険にできなくなってしまう。 「まったく……、そういえば、テレビに出てたの見たよ。友達がかっこよくしてて、すごいなあって思ったよ」 『そうか、面映いな。惚れ直してくれたか?』 「友達でしょ!」 境界線に踏み越えてくるズルい真唯を、ぴしゃりと叱る |
| 面映い | |
| ぴしゃり | |
| ガバっと | 紗月さんが聞くとね香穂ちゃんはガバっと起き上がりながらむしろ意外そうに |
| ひょっこり | 妹は去り際、開けたドアから顔をひょっこり出して。 「あ、あの、王塚先輩も、またあとで!」 |
| 手の甲 | 唇に手の甲を当てて、真唯睨みつける |
| 懸想 | なにを言っているんだ! これが他の誰かなら私だって『慎みなさい』ぐらい言うさ。そう、懸想する君の下着だから特別なんだよ |
| 立ちすくむ | そして笑顔で立ちすくむ妹 |
| すっぽり | とりあえずお布団さんを頭からすっぽりとかぶる |
| 支障をきたす | なのに、わたしは女の子相手にドキドキする人間に作り変えられて、友達付き合いに支障をきたすほど |
| こびりつく | そこにはまだ、真唯の想いがこびりついている気がした |
| どっしり | 月曜日は朝から曇っていて、胸の中がどっしりと重くなるような始まりだった |
| 試供品 | せめて戦闘モードとして、たくさんもらった試供品を使ってふだんより入念にメイクを整えた |
| くんずほぐれつ | 紫陽花さんが帰った後すぐに、真唯とくんずほぐれつしたもんだから…… |
| 厭世的 | 長い黒髪とどこか厭世的な眼差しは魔女めいた雰囲気があって、闇の中から現れたようだった |
| 及び腰 | 意図が見えなさすぎて、思わず及び腰の敬語になってしまう |
| 鮮烈 | 触れたら指が切れちゃう刃物のような鮮烈な美貌を前に、わたしはのけぞる |
| のけぞる | |
| 目が据わる | 紗月さんの目が据わっていて、殺意みたいなオーラが見え隠れする |
| 見え隠れ | |
| 独白 | 傷ついた真唯の独白を聞いて、胸が痛んだ |
| おたおた | 人がおたおたしているのを見て喜ぶような、底意地の悪い笑顔だ |
| 底意地が悪い | |
| 一言一句 | 恐らく真唯に言われたであろう一言一句を暗誦してみせる紗月さん |
| 暗誦 | |
| 思いの丈 | 思いの丈を、紫陽花さんの小さな体に叩きつける |
| あたふた | 紫陽花は珍しくあたふたしていた |
| バッテン | わたしは手でバッテンを作り、ホテルのロビーに響くような声をあげる |
| ぴらぴら | ぴらぴらと手を振って去っていく香穂ちゃんの後ろ姿に思い切り怒鳴る |
| 水しぶき | ざっぱんと水しぶきをあげて、わたしたちは水中へと沈み込む |
| しっちゃかめっちゃか | わたしたち五人グループは表面上元通りになったけれど、実は中身はしっちゃかめっちゃかだったりする |
| ファムファタール | なんだと……? あれだけ私の心を奪っておいて、君はファム・ファタールか……? |
| 見やる | 上目遣いで見やると、真唯は目をぱちぱちとさせて |
| 人垣 | 人垣を割って姿を現したのは、金髪の美女だ |
| ボンキュッボン | それこそ、芸能人みたいなボンキュッボンの美女とか、やたら高そうなスーツを着た恰幅のいいおじさんとかが順番待ちの状態で、真唯に頭を上げている |
| 恰幅 | |
| まったり | いやまったりしてる場合じゃない。わたしは息を潜めたまま怒鳴る |
| ぷっつり | そこでなんか、ぷっつりとわたしの糸が切れてしまった |
| しれっと | 半眼で見つめると、真唯はしれっとした顔で告げてきた 「恋人なのだから、つまりはフィアンセだろう? 私は初めて付き合った人と、そのまま結婚するつもりたなのだからな」 真唯はふぁさっと金色の髪を手で払った |
| ふぁさっと | |
| 馬子にも衣装 | 「きょうの君は、とても素敵だ」 「馬子にも衣装という言葉が日本には……」 「よく似合っている」 |
| きらびやか | それほどまでに無敵できらびやかな存在が、今、わたしの胸元に顔をうずめているという不条理 |
| おくびにも出さない | わたしは会場で真っ青になっていたり、今にも死にそうな顔をしていたことなんておくびにも出さず、貴婦人の皮をかぶって、しゃなりしゃなりと食卓へと向かう |
| しゃなりしゃなり | |
| 眼光 | わたしがコアラなら、紗月さんの眼光はまるでニシキヘビ |
| ぱたり | 水分まで失ったらぱたりと倒れかねない |
| 邪智 | かの邪智暴虐のスパダリを除かなければならぬと決意した |
| いかんせん | いかんせん真唯は自分が悪いことをしたとは、微塵も気づいていないのであった |
| 後腐れ | 大丈夫よ。なんとなくあなたと付き合っても、ひと月経てば後腐れなく別れるような気がするから |
| こじらせる | そんなだから、紗月さんがあんなこじらせ方しちゃうんじゃないか! |
| びしっと | びしっと胸の前で拳を構える紫陽花さん。確かに武道家もいい。戦闘中は、チャイナ服のぱっくりと開いたスリットから生足がチラチラしたりするんだろう。えっちすぎる! |
| 目鼻立ち | 目鼻立ちのクッキリとした小顔には、いつも色鮮やかで魅力的な表情が浮かんでいる |
| 駄々っ子 | 香穂ちゃんが駄々っ子になった!? じたばたと腕を振り回していた香穂ちゃんは、急にぴたりと止まると「ちら」とわたしを上目遣いで見て、そしてまた陸に上ったお魚みたいにびちびちし始めた |
| びちびち | |
| 丸聞こえ | と、静まり返った教室に、香穂ちゃんの声が響き渡った。丸聞こえにもほどがある |
| 看守 | 違う、これは看守が囚人を縄で繋ぐみたいなやつだ |
| どんより | 紗月さんの切れ長の瞳は、明るくきれいなものではなく、どちらかというとどんよりと濁っているんだけど、わたしにとってはそれがとても美しく見える |
| 直近 | 直近では、騙されてパーティーに連れていかれたばかりだ。寿命が百年縮んだ思いがした。 真唯の鼻っ柱をどうにかしてやらないと、一生マウントを取られ続けることになるっていうのも、わかってる |
| 鼻っ柱 | |
| 無臭 | 小さな、無臭無味のつぶやき。紗月さんはぼんやりと手元の紙コップに視線を落とす |
| ぷいと | 拗ねたように、ぷいと横を向く |
| 歯牙にもかけない | あのバカ、ずっと私のことなんて歯牙にもかけなかったんだけど、ようやく弱点が見つかったんだけど |
| ひょこひょこ | すぐに済むのなら、とわたしは紗月さんのあとを、ひょこひょことついていく。 駅から歩いて五分ほど。紗月さんが立ち寄ったのは、住宅地の中にぽつんとある神社だった |
| ぽつん | |
| つんのめる | 急に出てきた紫陽花さんの名前に、思わずつんのめりそうになる |
| 熱気球 | やばい、頭の中で熱気球みたいに妄想が膨らんでゆく |
| 仏頂面 | いつも仏頂面で毅然としているのに、わたしだけトクベツに殺されてしまう |
| 毅然 | |
| パリピ | わたしみたいな陰キャは、真唯のようなパリピより、どっちかというと翳を背負った紗月さんみたいな人種のほうがタイプになっちゃうものだから! |
| 床上手 | あなたは、床上手な女 が好きそうだものね…… |
| 怖じ気づく | 怖じ気づいたわたしに、紗月さんはカバンからスマホを取り出しつつ、嬉しそうに微笑んだ |
| 一筋縄 | これからの二週間。一筋縄ではいかないような予感に、わたしは震えてしまったのだった! |
| 一縷 | いや、もしかしたら紗月さんも家ではすごくゲームやってて、『そう、私もゲーム好きなのモンハンは二万時間やったわ』とか言ってもらえるかもしれない。一縷の望みをかけて! |
| そこはかとない | 「そこはかとない侮辱を感じたのだけれど、今」「滅相もありません! なんていうか、紗月さんはほら、清く正しく歩んでいる雰囲気なので! ゲームなんて不良のやるもので、人生の落伍者で、遊ぶとバカになるから!」 |
| 落伍 | |
| 土壇場 | 追い詰められて土壇場になってから本性が現れたりだとか、かと思えば本当にどうしようもない状態に陥っても必死にあがいて前を向いたりだとか |
| 捉えどころ | 紗月さんはわたしにとって、すぐに強化と弱体を繰り返すゲームの運営会社みたいに、まだまだ捉えどころのない人だった |
| やけっぱち | わたしは紗月さんから借りた本を抱き諦めながら、やけっぱちで叫んだのだった |
| 行きずり | 開始3ページ目から、主人公が行きずりの女子高生と濃密な性行為を繰り広げ始めた。濡れ場の描写が、ねっとり丁寧に描かれてゆく |
| 濡れ場 | |
| ねっとり | |
| 芽吹く | 翌日、紗月さんに文句を言うつもりで登校したら、朝一番に真唯の太陽光みたいな「おはよう」を浴びて、思わず罪悪感の種がすくすくと芽吹いてしまったのただった |
| すんなり | 真唯とはさんざん恋人か親友かで争っておきながら、二週間だけでもすんなり紗月さんの恋人になるとか…… |
| 昇降口 | 真唯は昇降口で靴を履き替え、そのまま外に出た |
| 苦渋 | わたしは、ううー、と苦渋の顔でうなる |
| 板挟み | 君は友達想いの麗しい人だ。だからこそ、いつも板挟みに苦しんでいる |
| 良妻 | 紗月さんってひょっとして、ダメな旦那を出世させてしまうような、良妻なのでは…… |
| 良妻賢母 | わたしは単純だから、良妻賢母な奥さんに乗せられちゃいそうになる |
| 常習犯 | 紫陽花さんと比べられたら、わたしの信頼度なんて置き引き常習犯並みだよね…… |
| 剣呑 | 信頼できないわたしに対して、あまりにも剣呑な言葉を |
| のこのこ | のこのことダンジョンに足を踏み入れるわたし。嫌な予感がピリピリと肌を刺す |
| ピリピリ | |
| もにょる | まあ、うん……身内がグイグイ来ると、すっごいもにょるよね…… |
| ビンビン | わたしの中の共感性羞恥がビンビンに反応してる |
| 冷え性 | 「信用できないわ。どうせ明日全校生徒に知れ渡っているのよ……。私が母さんの誕生日に冷え性対策の毛糸の靴下をプレゼントするような女だって……」 「いいことじゃん!?」 「クールぶって男女にそっけない態度を取っておきながら、母さんには優しいマザコンなんだって、後ろ指を差されながら生きていくの……」 |
| 後ろ指 | |
| のうのう | ただ、紗月さんがぜったいに見られたくないとことを見られて傷ついてしまったのだったら、わたしがのうのうと無傷でいるのは、あまりにも申し訳がなかったのだ |
| 燦然 | 例えば小学校の同級生たちがインスタで映えている姿だったり。クラスで燦然と光を放つ太陽のような女、王塚真唯だったり |
| 憤死 | 脳内真唯が『オアアアアアー!』と叫び声をあげて憤死していた |
| 端数 | 3枚980円のだから、326円ね。端数はオマケしてあげる |
| 凄艶 | 言葉を失っちゃうほど凄艶な佇まいにね思わず再確認させられる |
| 血相 | え、なに。どうしたの、血相を変えて |
| きゃいきゃい | そんな風に、きゃいきゃいと笑い合っているときだった |
| ちょくちょく | 真唯はちょくちょくわたしを気遣ってくれたけど、むしろ真唯に対してはわたしのほうが気まずいので、結果避ける形になってしまったし…… |
| 意趣返し | 叫んだあとに、これが紗月さんなりの冗談で、意趣返しだと気づく |
| お生憎様 | でも、お生憎様だわ。私は誰も好きにならないもの |
| 締めくくる | 思い返してみれば一学期を締めくくる騒動の発端は、すべてこの日がきっかけだったのだ |
| ぷるぷる | でも、バイト帰りだったら疲れてるだろうし、迷惑かな……。 っとっと、スマホがぷるぷる震えた |
| 一段落 | 紫陽花さんがうなずいて、話が一段落してしまった |
| 身振り手振り | 紫陽花さんの姿は見えないのに、今どんな風に笑って、どんな風邪に身振り手振りしているのかがはっきりと伝わるのだ |
| 小並感 | わたしの言葉は、かなり小並感あったけれど、だからこそちゃんと伝わったみたいだ |
| 引っ込み思案 | と、とにかく、引っ込み思案な自分を、変えるたら……変えるんだからね! |
| 立会人 | れな子に立会人になってほしいんだ |
| 待ちぼうけ | 校門前で、わたしと紗月さんは待ちぼうけを食らっている |
| しがらみ | 生きていく限り、しがらみが増え続けてゆく…… |
| 嘆かわしい | 料亭といっても、看板にあぐらをかいている店もある。嘆かわしい昨今だが、ここは本物だ |
| 相伴 | がんばってアルバイトしてる紗月さんが先に帰って、ただ真唯に好かれているっていう理由だけで、こんなすごいところで食事のお相伴にあずかるとか、ぜったい無理じゃん!? |
| 貢ぐ | だから気にしないで、これまで通り私にお金を使わせてくれ。君に貢ぐのは楽しいんだ |
| 構図 | 真唯のほうがずっと理知的で、それは普段の教室のふたりとは真逆の構図だった |
| 付け入る | そして、その停滞こそが真唯にとって、付け入る隙に他ならなかった |
| 破談 | 君が不安がっているのは、恋人とは破談になることによって人間関係が失われてしまうことだろう? |
| 舵取り | 恋人を選ぶときだって、わたしの人生の舵取りはわたしがするの! |
| ぶちまける | なぜか嬉しそうにドヤる真唯に、己の恥をぶちまけることだっていとわない |
| もたつく | もたつく紗月さんに代わって、わたしがHDMIケーブルを受け取る |
| ざぶん | ざぶんと飛び込み、その温かさに浮足立った心を溶かす |
| 浮足立つ | |
| ギスギス | 同じ家に住んでいる人とギスギスしてると、居心地が悪いだろうから |
| 衣擦れ | 暗い部屋に、衣擦れみたいな紗月さんの声がする |
| 剛の者 | これがどんな剛の者かというと、みちる先生はめちゃくちゃ普通な人だった |
| 一目散 | 判断ミスだ。一目散に逃げて距離を取るか、それかわたしも殴って応戦すればよかった |
| 応戦 | |
| 取捨選択 | 実用性を取捨選択した結果、三つに絞られた。つまり、あとふたつだな |
| 鈍器 | その王子様、さっき鈍器でシンデレラの頭をカチ割ってたんですけど! |
| カチ割る | |
| 手玉に取る | あれだけ練習した紗月さんさえも、手玉に取っちゃうんだ |
| 景気づけ | 「特に意味はないわ。景気づけね」 「人の唇に滋養強壮効果はございません」 |
| 強壮 |
| 肩身が狭い | 妹は昔からよくかわいい友達を家に招いては、わたしに肩身の狭い思いをさせるのだ…… |
| もち肌 | 二の腕がしっとりして、サラサラ……これが年下のもち肌…… |
| 熱弁 | 熱弁を振るう子にウンウンとうなずくわたしは、そうか、QRってクイーンローズって読むんだ……って思った |
| 猫撫で声 | よほど自尊心が満たされたのだろう。猫撫で声をあげてくる。こっわ |
| 見切り | 行ったところで紫陽花さんを退屈させてしまい『学校でのれなちゃんとは楽しくお喋りできたけど、やっぱりプライベートで長い時間一緒にいるのは無理だったねw』って見切りをつけられるのが、こわい |
| 歓待 | せっかく、れな子がうちに遊びに来るという約束を守ってくれるのだから、しっかりと歓待をしなければ、だ |
| 履修 | わたしは人生で男の子語を履修してこなかったので…… |
| ぶっちぎり | ふふふ、攻略ウィキにも、甘織れな子はグループの中でぶっちぎりのパンピーだが、見返りができかいので狙い目、と書いてあるんだ |
| パンピー | |
| 通い詰める | だめだよそんなの。笑顔で近寄ってこられたら、いい匂いするし、好きになっちゃうよ……。好きになったらお店に通い詰めるようになってさ、散財しちゃうじゃん。でも紫陽花さんは無自覚に、わたしみたいな子を量産して、カリスマ店員の地位に上り詰めるわけですよ |
| 上り詰める | |
| チャラい | バイト先のチャラいイケメン大学生とかにも迫られちゃうよ!? |
| 打刻 | ヘアキャップとマスクして、一日中誰とも一言も会話せず、ただタイムカードを打刻するだけ |
| 片手間 | 妹はスマホの片手間に聞きながら、ははーん、と納得した顔 |
| 干からびる | ああでも、四六時中、妹と一緒にいさせられるのは確かにキツい。ずっとひとりの時間が取れなかったら……? 干からびちゃう |
| 炮烙 | 紗月さんのことだからってっきり、世界の拷問方法でいちばん好きなのはなに? わたしはね、うふふ、炮烙かな♡とか書いてあるのかと |
| ずんずん | やる気満々の紫陽花さんは普段より早足で、ずんずんと歩いていく。そもそもどこに向かっていくカルガモの子ども…… |
| カルガモ | |
| 職質 | 紫陽花さんはきっと、生涯一度も職質を受けることはないだろう |
| 怪鳥 | 奇妙な鳴き声を発する怪鳥を置いて、くすくすと笑いながら紫陽花さんが襖を閉めた |
| 溶接 | 翻って、みえ、み、みえ……。くそう! 胸元と裾の布を溶接してえ! |
| しなだれかかる | しかし、よかった。紫陽花さんがしなだれかかってきた『れなちゃんは私と一緒に温泉入りたくないんだふ?』って甘えてきたら、わたしになすすべはなかった |
| 言いくるめる | 紫陽花さんに言いくるめられる前に、姑息なわたしなサーブする |
| 姑息 | |
| はだける | わたしの目の前には、ゆっくりと旅館浴衣をはだけてゆく紫陽花さんがいた |
| タイル | タイルの敷き詰められた中央に、大人が三人ぐらい足を伸ばして入れそうな木造りの浴槽が置いてある |
| 敷き詰める | |
| 色香 | 高校一年生の儚げな身体は女性として未成熟なはずなのに、それこそが完成しきった姿であるかのような紫陽花さんの色香に、わたしは息ができなくなる |
| 薄明かり | 薄明かりに照らされた紗月さんの裸体は、本当に綺麗だった…… |
| 産声をあげる | 理性が産声をあげた。 ――オマエ、なにを言おうとしているの? と。 |
| 五指 | 五指でにぎにぎと虚空を掴む |
| にぎにぎ | |
| 虚空を掴む | |
| 巨匠 | 巨匠の描いた名画をカッターで傷つけるような所業じゃないの? |
| 所業 | |
| 棚ボタ | あるいはこれから紫陽花さんと出会う人が、どんなに望んでもできないだろうことをわたしが棚ボタでしているんだと考えると…… |
| 歩き詰め | そういえば、朝から歩き詰めだった |
| こそばゆい | こそばゆい。そしてなぜか妙に恥ずかしい…… |
| 障子 | 障子を閉めても、外からかすかな月明かりがにじんで、部屋の中は真っ暗というわけじゃなかった |
| ぶちまける | 朝起きてチビたちを起こして着替えを手伝ったり、朝ごはんの用意をしたり、朝から床にぶちまけられたレゴブロックひとつひとつちまちま拾い集めたりしないんだ…… |
| ちまちま | |
| 累が及ぶ | 私は手段を選ばない。あなたの家族に累が及ぶわ |
| 全幅 | ただ紫陽花さんが一番なんだ、っていうその安心感。全幅の承認欲求なんだと思う |
| ほわほわ | きょとんとした真唯と、ほわほわの紫陽花さんの視線が交錯して |
| 交錯 | |
| 場末 | うそつけ! あんたみたいな王族ず、お忍びであってもこんな場末の旅館に泊まりに来るわけないでしょ! |
| 睨めつける | わたしがじぃっと睨めつけると、真唯はバツが悪そうな顔をした |
| バツが悪い | |
| 約款 | 宿泊約款に書いてあるからだよお! |
| 八方ふさがり | といっても、紫陽花さんに嘘をつくのはやりたくないし!八方ふさがり! |
| 披露宴 | 今ここで美少女と美少女の披露宴が開催されているぞ |
| なけなし | なけなしの小遣いで小学生が美術館に通うとか、偉人家のエピソードじゃん…… |
| 店頭 | 通りの片隅。錆で汚れた年季の入った看板の下、店頭にガチャガチャが並んでおり、中には所狭しと商品が陳列されている |
| 物色 | 店内を物色していた真唯に、横から話しかける |
| 日向ぼっこ | お店の前にはおあつらえ向きのベンチがあって、わたしたちは日向ぼっこする猫みたいに、並んで腰を下ろす |
| 晴れ着 | 晴れ着姿で、髪飾りをつけた、七歳のロリ紫陽花さんだ千歳飴を提げて、はたかんだ笑みを浮かべている |
| 祭囃子 | 真唯が押し黙る。すると、風に乗って聞こえてくるのは祭囃子 |
| 褒め殺し | でも、だからって、真唯を接待して褒め殺しするとか、できませんから…… |
| 提灯 | 当然ふたりは頼りない提灯の明かりですら輝きをごまかせないほどの超絶美少女なので、わたしは周りの視線を遮るみたいにフォローしつつ…… |
| 鮮烈 | 真唯が唐突なのは、今に始まったことではない。真唯は、いつだって鮮烈だった |
| 一過性 | だけどきっと、この気持ちなんて一過性で、今回の家出みたいにバカげたこと |
| 湯あたり | あの、ごめんね。私ちょっと湯あたりしちゃったみたい。先にあがるね |
| 脈拍 | ただでさえ、お風呂に入ってて脈拍が加速しているっていうのに…… |
| 悠々自適 | だ、大丈夫だってば……。みんな紫陽花さんがいなくても、悠々自適に生きているよ…… |
| 大黒柱 | あっ、いや、そういう意味じゃなくて、紫陽花さんは一家の大黒柱だったけどね! だから帰りを一日千秋の思いで持っていて……いや、ええと、その! |
| 一日千秋 | |
| 純正 | 寂寥感に苛まれていたんだな。しょうがない、純正陽キャは独りに耐えられないからな |
| 大それた | わたしはそんな大それたことはしてないつもりなんだけど、でも紫陽花さんが感謝したくなるぐらいには役に立ったってことで、純粋に嬉しかった |
| 審議 | まあ、紫陽花さんが来るっていう前日からお部屋の掃除をしたり、髪の毛一本逃さぬようコロコロをしたり、午前中からそわそわしてメイクをしたり落としたりメイクをしたりのわたしが、果たして不審人物ではないかというと、そこは審議の余地があるだろうけどね |
| ワンクッション | 思っておきながらワンクッション置いてわたしをからかうところが、実に真唯ですね…… |
| 代わり映え | 代わり映えのしない毎日の中、時間だけがあった |
| 色めき立つ | 曖昧な態度の紫陽花を見て、向かいの少女が色めき立つ |
| 言霊 | 芦ケ谷の華々しい美少女たちの名前には、人をちょっぴり幸せにするような言霊があるのかもしれない |
| 虚無 | 洗面台の鏡に映る甘織れな子は、虚無の顔をしていた |
| 潮騒 | 潮騒のように教室から喧噪が遠ざかってゆく。数学の授業が始まった |
| 噛み砕く | 紫陽花さんの微笑みを浴びながら、わたしは先ほどの告白の意味を必死に噛み砕く |
| 度肝 | この展開はなかなか、度肝を抜かれたな |
| 浮き彫り | いいや、真唯の光に照らされて、ただわたしの影が浮き彫りになってゆく |
| しなだれかかる | 漫画とかでよく見る、『お願い、ぜんぶ忘れさせて……』ってしなだれかかるやつだ! |
| 化膿 | わたしの心は治るどころか、化膿しちゃっているような有様だった |
| へばりつく | まだ体温のへばりついた布団に潜り込んで、横になった |
| チリチリ | 写真をそっと指で撫でる。その指先が、チリチリと熱い |
| かっぱらう | お父さんの部屋にアルバムがなかったから、どうせお姉ちゃんが、かっぱらっていったかなって |
| ズケズケ | 遥奈がこうしてなんでもズケズケと言うようになったのだって、わたしが『言動でよくないところがあったら、指摘して!』と頼み込んだからだ |
| 奇しくも | 奇しくもそれは、真唯グループのひとり、小柳香穂と同じ名前だった |
| 衝立 | だけど、そんな視線を遮る衝立みたいに、ふたりの女の子がやってきた |
| 権謀術数 | 権謀術数にみまれてるやつじゃん…… |
| 平謝り | 平謝りする。全面的に非があるわたしは、平謝りするしかない |
| かわりばんこ | このセリフが熱い。そんなことをかわりばんこに言い合って、相手の言葉にひたすら共感する |
| 月並み | 月並みだけど、人に話したら気分が軽くなることだってあるかもだよ? あたしはあんま真面目に人生相談されないタイプだけど、かつての大親友のよしみとして、ほら、聞いたげるからさ。これも再会のお祝いってことで |
| よしみ | |
| 乱心 | か、香穂ちゃん!? いきなりなに!? ご乱心!? |
| のっしのっし | のっしのっしと威圧的にやってきた香穂ちゃんに、胸ぐらを掴まれる。ひい! |
| ガチギレ | 友達のガチギレに、わたしはビビり散らかす |
| ビビり散らかす | |
| 残り香 | 夏の残り香に、ミンミンと大きなせみの鳴き声。それに負けないぐらい、声を張る |
| ミンミン | |
| 取っ組み合い | 初めての、取っ組み合いのケンカだった |
| ボロキレ | ボロキレかなにかみたいに |
| ほふく | 気分的には、ほふく前進のように這いつくばりながら登校した…… |
| 利息 | MPを回復するために香穂ちゃんとお喋りするつもりが、むしろ日常生活の気まずさでメンタルをすり減らしてしまって、利息の返済で精一杯の借金を抱えているような気持ちになる |
| 喜怒哀楽 | 香穂ちゃんは割と喜怒哀楽は激しいんだけど、でも起こるときもネタで、今みたいなマジっぽい感じを出すことは滅多になかった |
| タメを張る | 琴紗月は王塚真唯とタメを張るぐらいの美人で、日夜ただならぬ無力を振りまいている才媛なのだけど、いかんせん真唯と比べて対人関係にまったく労力を割くつもりがなくて、割とひとりでいることが多い |
| 制圧射撃 | わたしがなにか口を開こうとするたび、土下座した香穂ちゃんから制圧射撃のような謝罪が飛んでくる |
| 暗がり | とはいえ、このまま暗がりに連れてかれて、また人類最古の兵器のうんちくを聞かされるのは嫌なので、尋ねる |
| うんちく | |
| 筐体 | 頬ずりする。筐体パーツの手触りは固く、中のデリケートな基板やドライブ類を大切に守ってくれている。頼りになるやつだ |
| 基板 | |
| 質感 | ……な、なんだこの質感。口の中にあふれてきた唾液が、妙に甘酸っぱい……! |
| 全方位 | ただ、あなたが全方位に不義理を働いているどうしようもない人間だというのは、なんとなくわかるわ |
| 不義理 | |
| 憤慨 | 憤慨するわたしに、とにかく冷たい視線が突き刺さる。痛い |
| 含蓄 | 紗月さんが上品に髪を払う。 「人生とは、決断すること。神様じゃないんだから、未来なんてわからない。そうして選んだ道を、どうにかこうにか進むしかないの。後悔するとわかっていてもね」 含蓄ある言葉の響きに、背負っていたリュックがさらに重くなった気がした |
| 厚顔無恥 | あなたその厚顔無恥っぷりをどうして他の人には発揮できないのか、とても理解に苦しむのだけれど |
| 滝行 | 山に言って滝行するわけにもいかないし。女子力を上げるために、新しいメイクに挑戦するか……? わたしが、か |
| 放し飼い | 虎を百頭放し飼いにしてる! |
| やたらめったら | そ、そんな風にやたらめったらカワイサ振りまいたって、精神的な優位に立てると思ったら、大間違いだからね! |
| すべからく | 「ドキドキしてますにゃあ? キミい」「していないし! したことないし! 生きている者はすべからく心臓動いているんだよ知らなかったのー!?」しかし香穂ちゃんはニタニタしたまま、わたしを真正面から見つめている |
| ニタニタ | |
| のべつまくなし | すべての元凶は真唯だ。けど、ここまでのべつまくなしだと、もはや最初からわたしに素養があったとしか思えない。わたしが顔のいい子を見てドキドキすることの根底には、陽キャへの憧れがある |
| 素養 | |
| 根底 | |
| 露呈 | 教室で必死に陽キャのフリをがんばっていながら、突然話しかけられて準備不足のコミュ障を露呈させたわたしは、左右に視線を揺らす |
| 探りを入れる | 香穂ちゃんはわたしのことをわかっていて、それなのになんにも反応をしないわたしに探りを入れていたんだと思う |
| フォトジェニック | どうやらもともとは小規模な結婚式場らしく、しかしこの昨今、フォトジェニックなスポットであることを利用して、個人用の撮影場所としても貸し出しているらしい |
| 座談会 | でもふたりしかいないのに座談会とか言ったりするじゃん! |
| 古参 | おっ、古参ごころをくすぐるイイ質問ですねー。そうなんですよ。本当にJCレイヤーだったなぎぽさんに光るものを見つけて、それ依頼ずっと追いかけているんですよ |
| 軽妙 | いえ、別に。やけに軽妙だから、熱に浮かされているのかなって思っただけよ |
| 十把一絡げ | いや、しかし、わたしは十把一絡げの量産系女子を目指して……あれ……? わたしは、ほんとは、かわいくない……? |
| 感傷 | ほんの少しだけ、感傷に浸りそうになる |
| 混線 | 香穂が送った催眠音声の内容が、混線していた |
| 陰湿 | 黙れ! わたしは陰湿で陰鬱なれな子をゲシゲシと踏み潰す |
| 届け出 | だからここはラブホの届け出をしていない、ただの普通のホテルだヨ |
| 高飛車 | ああ、高飛車さんねー。あの子、クインテットを敵視しているからにゃあ |
| 率先 | 率先してイニシアティブ取っていこ |
| しずしず | 香穂ちゃんが、当たり前のように、しずしずとこっちを向いてきた |
| 淫夢 | これ以上踏み込んだら、きっとそのうち香穂ちゃんの淫夢まで見るようになってしまう |
| 諾否 | 参加諾否の連絡は来週いっぱいまで |
| ぱったり | しかし、みちる先生のところで、目撃情報がぱったりと途切れていた |
| 粛々と | ただ粛々と判決を待つかのように、わたしのことを、そして真唯と紫陽花さんのことを考えていた |
| 一張羅 | 緊張して朝の誤字五時に目が覚めて、二度もシャワーを浴びてしまった。お洋服は一張羅 |
| 模造刀 | 香穂ちゃんからコスプレ用の模造刀でも借りてくればよかったかもしれない。行楽地の駅で降りる |
| 行楽地 | |
| 煮え切らない | 紫陽花さんが小さくスカートをつまんで頭を下げてきた。どうやら正解できた……? 煮え切らない顔をしていた気がする |
| 殺陣 | ステージ上では、華やかな衣装を来たコスプレイヤーさんたちが、あるペアは殺陣を……あるペアはアニメシーンの再現を……あるペアはなんとライブみたいにキレのあるダンスを踊っていた…… |
| 相乗効果 | 告白の返事をする期限が迫ってきているという相乗効果もあって、『なにもしていないのに 金曜の夜がもう日曜の深夜!?』 |
| 武者震い | そゆこと! いよいよ本番が近づいてきて武者震いしちゃう! |
| 根暗 | そもそもあたしって根暗だし、個人撮影会を開いたってとを呼べないから、サーちゃんやれなちんに手伝ってもらっていたぐらいなのに…… |
| 日陰者 | 人気も実力も知名度もなにもかも足りていないのに、夢を目指したって、自分が傷つくだけなんだよ……日陰者は日陰者らしく、いつまでも他の人の視界にお邪魔しないよう端っこを歩いて生きていかなきゃだめなんだ…… |
| ゾウリムシ | 香穂ちゃんがミジンコなら、わたしはゾウリムシかな!? |
| 沈痛 | でも周りの皆様方は、心当たりあるかのように沈痛な顔をしていらっしゃる |
| 敬服 | こんなときだというのにちゃんとお礼を忘れない真唯の人間性に心から敬服しつつ、フレーバーを変えたラベンダーのハーブティーを淹れる |
| 滂沱 | 先ほどの、真唯が敗北した試合中の紗月の昔話に、花取は感動した。人前でなければ、滂沱の涙を流していただろう |
| グチグチ | あなたは仕事で失敗したり、母親と言い争いをしたときには、我が家にやってきて、しばらくグチグチと悩みを打ち明けてくるけれど |
| 身を焦がす | 身を焦がすような情熱的な昂りに、ワタシは酔いしれた |
| 強固 | だけど真唯の仮面はあまりにも強固だ |
| 協賛 | 今回はたまたまかな。クイーンローズが一部協賛していてね。その縁で、私も出演させてもらうことになったんだ。アニメにはあまり詳しくないが、今回の資料はちゃんと読み込んだし、原作も履修した |
| 履修 | |
| 超然 | 超然と微笑む真唯 |
| 押し黙る | この強引すぎる論理に、真唯と紫陽花さんはまたしても押し黙る |