欄干 | しかし猫をも殺す好奇心に私が抗えるわけもなく、欄干から身を乗りだし、様子を覗ってしまう |
肩透かし | 不良の呼びだしやカツアゲを想像していた私は肩透かしを食らう |
眼窩 | 真正面から見据えた彼女の顔は、木漏れ日を浴びた部分だけが陶器みたいに光を反射して、眼窩に嵌められたガラス玉みたいな眼球と宝石じみた瞳が、光の加減のせいでやけに薄暗く見えて、それが彼女の全体的な雰囲気を仄暗く、それでいて大人びたものにさせていた |
仄暗い | |
落差 | それまで転入生に対する期待と不安で普段以上のざわめきと混沌を描いていただけに、その落差は耳でも痛くなってしまいそうなほど強烈なものだった |
三度 | 三度、沈黙が支配した教室に、さすがのハルカスも調子を狂わせられたらしい |
腫れ物 | 教師たちはまるで腫れ物にでも触れるような接し方をするのだ |
燻る | まあ、なんか燻ってるみたいだったしね。百合亜があんな状態だと、こっちの調子まで狂っちゃうし、さっさと解決して貰おうと思っただけ。それ以上でも以下でもないわよ |
悪戦苦闘 | 凛々香のセクハラに悪戦苦闘していると、教室にどたたた!となにかが駆けこんでくる |
宣う | と思っていたら、一条はさらに意味不明を宣いだした |
霊験 | 霊験とかありそうだし、せめておこぼれにあずかりたいし、普通に気持ちいいし楽しいしさ |
おこぼれ | |
ぱちくり | もう一度、平手打ちをして目覚めさせると、百合亜は目をぱちくりさせて、両方のほっぺたに見事な紅葉をつけて「おはよ」と、爽やかな表情を浮かべながら呟くのだった |
悪食 | なにそれ意味わかんない。相変わらず悪食……あ、私ポン・デ・マンゴーとカスタードフレンチのイチゴでしょ、あとゴールデンチョコレートにー……ハニチュロはどうしよっか |
金輪際 | 有り得ない!と、全細胞が騒ぎ立てる。金輪際、一条とかかわるのはやめよう |
難色を示す | 対する彼方はと言えば、凛々香の言葉に「んー……」と難色を示しているようだった |
回れ右 | そう吐き捨て、見事な回れ右を披露して、彼女の姿は廊下へと消える |
啖呵を切る | いや……あんな啖呵を切った勢いでトイレに行くのは、なかなかの猛者だと思うけど |
奇しくも | 奇しくもそれは、二年生になった私が、延々と想いを巡らせていたテーマだった |
のし掛かる | 雨水を蓄えた雲は見るからに鈍重な雰囲気を漂わせて空に停滞し、その重みがそのまま地上にのし掛かってきたように空気がやけに重たく感じられる |
年功序列 | もともとバスケ部は年功序列にうるさい部活だったらしい |
禍根 | だからといってすべてが綺麗に収まったわけではなく、部活内での禍根は残り続けた |
虫唾が走る | それがアンタらみたいなクズの手で折られたんだと思うと虫唾が走る! |
騒然 | いつまでも騒然としている体育館に居座るのは百合亜ちゃんの心情的にもよろしくないだろう |
情状酌量 | 情状酌量の余地はあるとは思う。だけど現代社会、どうあっても『手をだしたほうが負け』になるようにできてるから、やっぱり気休め代わりのお守りにしかならないと思うわ |
相対 | しかし凛々香がそれを許すわけもなく、一条さんは髪を掴まれ、無理やり相対させられる |
頭突き | 怒鳴り、ガッ!と髪を引っ張ると、凛々香は頭突きの直前で腕を止める |
瀬戸際 | 正直今はそれどころじゃなくて……アンタが妙なこと吹きこんだから、百合亜、退学になるかならないかっていう瀬戸際で、だから私は、アンタに怒鳴ってるの。わかるかしら? |
あたふた | 凛々香をとめようとしていた私は伸ばしていた手の行く先を失ってあたふたしてしまう |
退路 | まあ、だから相談しなかったし、退路を断ったわけだけどさ |
折檻 | あれは練習だと言いはるのでしょうか?私には折檻のようなものだと言われたほうがしっくりくるものでしたが |
人集り | 廊下にでると、なぜか人集りができていた |
残り火 | 胸に燻る残り火が消えないうちにと彼女の手を両手で握りしめる |
なあなあ | 部活は三ヶ月の活動停止で百合亜の復帰についてもなあなあになったままだった |
勝訴 | これ幸いと私たちは勝訴祝いと打ちあげを兼ねた盛大なパーティを企画していたのだ。にもかかわらず、そのタイミングで、とある大問題が発生したのである。……最後の最後に、あんな伏兵が待ち構えていたとはね |
伏兵 | |
視姦 | 視姦女は放っといて、さっさと赤レンガのほうに向かいましょう |
噤む | なんて説明できるわけもなく、私は中途半端な形で口を噤むことしかできなくて |
カースト | 学校のグループって、似たようなタイプとか、同じカーストとか、そういうので固まってることが多いじゃない |
後学 | 後学のために教えておいてあげるけど、そうやって的外れな男らしさを振りまわすのやめたほうがいいからね |
低迷 | 低迷していた機嫌がなぜか少しだけ上向きになって、自分の声が弾むのがわかった |
一喜一憂 | 風見の言葉に一喜一憂し、機嫌が棒グラフみたいにわかりやすく上下する |
童心 | 開放的な空気と塩素の匂いが鼻を突き抜け、そのまま童心を貫いていった |
肩甲骨 | それだけではなく、額を首筋に押しつけられて、顔が肩甲骨にあたって、それがでこぼこしたコースの揺れたに合わせて、もろもろの部位が素肌に押しつけられて、ちょっとヤバい |
切羽詰まる | バンッ!とドアが開く音がして、先生の切羽詰まった声が聞こえてくる |
不文律 | 互いの過去はなるべく詮索しないという不文律が私たちにはあったから |
跋扈 | いろいろと言いたいことはあった。たくさんの『どうして?』が私の中を跋扈する |
束の間 | 間の抜けた効果音とともに、周囲には束の間、静寂が満ちた |
エネルギッシュ | どうしてだれもかれも、私と死を連想したりするのだろう。決してエネルギッシュなほうではないけど、そこまでダウナーに振り切れてるとも思わない |
くどくど | いろいろと考えないといけないことも、言いたいことも多すぎる。私たちは同性なんだよ?とか、私は教師であなたは生徒ですよ?とか、そんなことをくどくどと話して、あなたの想いに水を差したくない。だから先に霧辺の話を聞かせて |
水を差す | |
グショグショ | タバコの染みこんだ先生の匂いを嗅いでいると心の底から安心できたから、私はその胸元に顔を押しつけ、先生のブラウスがグショグショになるまで、ずっと泣き通していた |
ドクドク | 胸の内のドクドクした膨らみに意識が集中する。自分が心臓を持っていることに、生まれて初めて気づいたような心地がした |
か細い | そのときはご褒美としてね、先生は顔を背けながら、か細い声でそう呟いた |
堆積 | 部屋の底に泥みたいに堆積した憂うつは、私の心の声を吸いこんで消してしまった |
軽妙 | 軽妙さで出来ている凛々香にしては珍しく言葉を重たげに濁していた |
氷解 | つき合ってるのー!?という少女漫画じみたモノローグが反響して、頭がぐらぐらした。だけどそう考えてみると、今まで彼方に抱いてた細かな疑問が氷解する |
グツグツ | なんだか火で炙られてるみたいに、おなかの底のほうがグツグツと煮立ってくる |
ビクビク | 今日も嫌味を言われるのではないかと内心でビクビクしながら部屋に荷物を置き、忍び足でリビングへと向かった |
忍び足 | |
漂白 | 増やしてみましょうって、なにを言ってるの?と一瞬、思考が漂白されてしまう |
なりふり | この瞬間、手になにも持っていなくてよかったと心の底から思った。もしも近場に適当なものがあったなら、私はそれを、なりふり構わず床に叩きつけてしまっていただろうから |
粛々 | だからこそ母親が決めた道を粛々と歩んできた |
沈鬱 | そう話す彼方の表情は妙に沈鬱だった |
英気 | 百合亜と戯れているあいだに少しだけ英気を養えたらしい |
卓越 | 生まれつき脳の一部の機能が他のひとより卓越していたり、なんらかの事故で頭を打った結果、今までとは別の能力が開花したり |
感情移入 | あまりにも感情移入しすぎたのか、百合亜はスケッチブックを放り捨てて、彼方に抱きついてしまう |
絆す | そんな百合亜に絆されたのか彼方の目にも涙が浮かび、口からは嗚咽が漏れる |
理路整然 | やっぱり識奈ちゃんと凛々香は要点を纏めて理路整然と話すのがうまい。私なんて話しているそばから、なにを言いたいのかわからなくなって、最終的にもごもごと口を動かすだけになってしまうのに |
もごもご | |
煮詰める | 私たちが泣いているあいだに、凛々香と識奈ちゃんがなにやら相談してるのには気づいてたけど、まさかここまで話を煮詰めてくれているとは思わなかったから呆気に取られてしまう |
閉塞感 | 欄干の位置がちょっと高いせいか、普通の階段より閉塞感がある |
苦し紛れ | それは完全に苦し紛れだったけど、それ以外に口にできる言葉がないのも事実だった |
額縁 | 元ね。額縁の下の所に書いてあるけど、何年も前の先輩のやつよ |
底辺 | ゴミしか作れない底辺の気持ちなんて、田中さんにはわからないよね |
歯に衣着せず | 百合亜が相手だから、もうメチャクチャわかりやすく、歯に衣着せずに言うけどね。うちの美術部って趣味のレベル――それにしたって、程度の低い絵を描いてるやつしかいないのよ |
揚げ足 | バカなのにヘンなところで耳聡く揚げ足とってるんじゃないわよ。揉む胸もない癖に |
鈍色 | 鈍色に光る刃を見せつけるように生徒はカッターを振る |
ズキリ | ズキリと私の心臓まで痛んだほどだから、その激昂もわからなくはない |
錠前 | 私にはその音が、もっと別の――錠前がハズれた音かなにかのように聞こえたのだった |
美辞麗句 | 泣くのを堪える幼子に、どんな美辞麗句を連ねようと無意味なように |
キチガイ | いきなり客に対して暴力振るうとか、そいつキチガイなんじゃないの? |
散財 | 玄関と校門のあいだでは生徒の父兄が屋台を開いていて、揚げ物の香ばしい匂いが漂ってきていた。普段ならこの匂いに抗えずに散財していたところだけど今はそれどころじゃない |
わなわな | その唇はなにか言葉を紡ごうとしているようだったけど、わなわなと震えるばかりで吐息以外のものがパニックを起こしているらしかった |
尾鰭 | 「私が彼女に無理やりキスをしました」と答えたのだけれど、いつの間にか話に尾鰭がついて『私が彼女を押し倒したこと』になっていた |
目論見 | なによりだれかを好きになったり信じたりして自分が傷つくのはごめんだったから。なのに私の目論見は瓦解してしまった |
瓦解 |
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