
| 開陳 | かといって、自身を開陳することにしか興味のない四人や、さっきからまともな発言ひとつせずに「ひひっ」と気色悪い笑いを漏らす少年ドールより、用心深く媚びるほうがまだ理解はできるのだけれど |
| 上澄み | こういうことは他人にやらせて、上澄みだけをいただくに限る |
| 億劫 | 学校に行けばメビウスが概ね把握できる一方で、登校しなければならないのがときどき億劫だ |
| 筒抜け | こいつを見張ってれば、帰宅部の様子は筒抜け |
| 拝む | そう言って、鳴子が拝むように手を合わせた |
| 尻込み | 二度三度尻込みしてから、頷いてみせた |
| 人懐っこい | だってさ、人懐っこそうな鼓太郎先輩はともかく笙悟先輩って、強面でちょっと近寄りがたいでしょ? |
| 強面 | |
| 仲良しこよし | 個々の性格さえ掴むことができれば、仲良しこよしの部活ごっこを木っ端微塵にするぐらい、造作もない |
| 木っ端微塵 | |
| 造作もない | |
| 体よく | 体よく残飯処理を豚に押しつけ、ベンチから立ち上がった |
| 残飯 | |
| 憚る | それまで人目を憚り、着飾って、抑圧してきた本能がμの歌声に触れて開放される |
| 先達 | いま、僕がここにいるのは先輩のせいですからね。いわば、僕の人生に新しい道を指し示した先達です |
| 胸糞 | この胸糞悪い気分、さっさと曲にしてしまいたい |
| じんわり | 顔に、じんわりと胸へ温かさが兆す |
| 兆す | |
| 幕切れ | あっけない幕切れで、一気に興が削がれた |
| 興を削ぐ | |
| 移り気 | 人気者、彼氏持ち、ただし彼氏は移り気。鴨が葱を背負ってくるとはこのことだ |
| 鴨が葱を背負ってくる | |
| 綻び | まだなにも仕掛けていない。なのに、勝手に綻びが広がっている |
| 暗澹 | モニターに映し出された暗澹たる音を睨み、すべてデリートした |
| 満悦 | 鼓太郎はご満悦のようだが、笙悟はいかにも憮然とした面持ちだ |
| 憮然 | |
| 面持ち | |
| 気取る | こんな男に気取られるなんて |
| 内気 | 窺って張り詰めて、内気を絵に描いたような女だった |
| 古株 | そりゃ、笙悟は古株だからな |
| あっけらかん | あっけらかんとして、ときどき他の人に迷惑をかけることもありますけど……でも、守田さんはいつも明るいし、楽しい話をたくさんしてくれて |
| 破顔 | 「へぇ。お前、イイヤツじゃん!」鼓太郎が破顔した |
| 陳腐 | 陳腐で使い古された言葉は、威力がある。だから、いくら手垢がついても消えずに生き残っているのだ |
| 手垢がつく | |
| 担保 | 愛だけじゃない。信頼も、団結も、友情も、担保のない絵空事だ |
| 絵空事 | |
| 拍子抜け | 拍子抜けするほどあっさり呼び出しに応じたソーンは、いつもと変わらない無機質な声を返した |
| 無機質 | |
| 才覚 | けれど、だからといって、μが望まないことを私が勝手に決めるわけにはいかないわ。μは楽士の才覚を買っている。もちろん、貴女のことも |
| 滅私奉公 | 歌の女神に感謝の滅私奉公?バカバカしい。気取るのもいい加減にしなさいよ |
| スケープゴート | 話をしてみると可哀想なぐらい頭の回転が遅く、会話の流れが読めない。クラス内でちょっとしたスケープゴートになるのも頷けた |
| 鼻白む | 断れば断るほど、周囲の取り巻きが鼻白む |
| 腰巾着 | 彼女と同中のあの子は、昔からずっと腰巾着なんだって |
| 鬱憤 | それほどの覚悟もなく、ただ鬱憤を晴らしたい程度の愚痴ならば、知られることを想定して話すべきだ |
| 小心者 | クラス内のポジションは気になるけれど、悪者にはなりたくない。そういう、絵に描いたような小心者 |
| 自尊心 | は惜しみなく周囲に提供しつつ、ときおり自尊心くすぐってやりながらじっくりとクラスメイトを引き込んだ |
| ほんのり | ほんのりと口許が色づくリップや、ちらりと襟元に覗くアクセサリーも忘れず、おっとり楚々と笑んでいると、男子から意味深な視線を投げかけられることも増えた |
| 楚々 | |
| 爪弾き | ムードを見られて、自分が爪弾きにされているとカレシに知られるのが嫌なのかもしれない |
| 軽度 | 軽度のイジメであれば、それもいい。へりくだれば舐められるし、反応しなければ飽きられて沈静化することもある |
| 沈静 | |
| 集大成 | 高校生活の〰否、いままでの集大成として相応しい、とびきりの作品にしなくては |
| 憤り | いままでは、怒りや憤り、嘲りをそのまま曲にねじ込んできた。だが、今回はまったく違うアプローチができそうだ |
| 丹念 | 見たくもないかつての出来事を丹念に見せつけられね。結末がわかっているとはいえ、思い出して楽しくもない事実を延々見せられれば胸くそが悪い |
| 風評被害 | つきまとうって……人聞きの悪い。風評被害です。ね、先輩 |
| 廃業 | あたしに廃業しろっていうの?そんなの、無理に決まってるでしょっ! |
| 怖気 | (いま『アイツ』がこっち……見てた) 怖気が走った |
| 裏付け | 向けられていた視線が決して嫌悪と悪意ばかりではなかったと信じたいから、裏付けになる答えを必死に探しているのだ |
| くぐもる | 喉元でくぐもる掠れた声。やや遅れて、目が覚めた |
| 接ぎ穂 | 仕方なく、言葉の接ぎ穂を必死に探した。だが、うまくいかない |
| 警鐘 | それ以上言わないほうがいい、と頭の隅で大きな警鐘が鳴り響いていた。が、雰囲気に呑まれ、踏みとどまるのに失敗した |
| 素知らぬ | 鳴子は、素知らぬフリで大きな秘密を黙っていられるような性分ではない |
| 性分 | |
| 指図 | この私に指図すんじゃないわよ、偉そうに |
| 嗜虐的 | そのたびに、切れ切れの悲鳴が上がる。耳障りな声が、いっそう嗜虐的な気分を煽った |
| 本腰 | 転校と同時に、作曲に本腰を入れはじめた。半年が経過した現状、投稿した動画の再生数は順調に右肩上がりだ |
| 糞味噌 | だが、糞味噌に言われたところで、ランキングは落ちず、むしろ上がる一方だ |
| 老いぼれ | だったら、成人するまでは、老いぼれ共を利用したほうが利口に思えた |
| 利口 | |
| 卒倒 | 本当のこと書いたら卒倒するんじゃないの?殴られ続けて顔が腫れ上がったとか、蹴られて意識が遠のいたとか |
| 持参 | そこからは、彼の家族の話になった。年に一度は家族みんなで田舎に帰ること。持参するお土産。親戚一同が集まって食べるご飯や、その晩だけ特別に許される夜更かし |
| 矢継ぎ早 | 待ち構えていたように短い返事があって、それから、矢継ぎ早に吹き出しが三つポップした。 |
| 身じろぐ | 身じろぐと、鈍く背中が痛んだ。体が強ばって、うっすら汗をかいている |
| 面食らう | てっきりメッセージが来ると思っていた。やや面食らいながら通話ボタンを押す |
| 一網打尽 | 部室さえわかれば一網打尽よ |
| 大詰め | メビウスでの出来事はかなり大詰めに差し掛かっている |
| 顛末 | 今回のことで、彼女が帰宅部を陥れた理由と顚末はほぼ確定した |
| 悪手 | 無断欠席にしても、そろそろ一週間が経つ。いままでなんの手立ても講じていないのは悪手だ。万が一、大人のいない隙に事件にでも巻き込まれていたら、つまらない |
| 手間暇 | もう少し遊ばなきゃ、いままでの手間暇に見合わないっつうの |
| いけ好かない | 「どんな目に遭おうとも善人で健気な自分」に酔っているとしか思えない。 (いけ好かない) クラスでここまで鼻につく相手は、良くも悪くもこのオンナしかいない |
| 憂さ晴らし | それとも、責める人間がひとりもいない自分のテリトリーに都合のいいクラスメイトを呼び憂さ晴らしをする狙いだったのだろうか。 |
| 目配せ | 「そういうわけじゃないんだけど……ちょっと、ね」 そう言って、琴乃が彼に目配せする |
| 喧々諤々 | 漏れてくる、喧々諤々とする帰宅部たちの声が、耳に心地いい |
| 四面楚歌 | 四面楚歌で学校へも来られないくせに |
| 覚束ない | 足許も覚束ないくせに、どうして先のことなど考えられるのだろう |
| 残響 | かつて空だった場所は暗く歪み、稲妻に似た残響を細かく刻む オスティナートの楽士は帰宅部たちの前に全員破れ、μとの攻防はメタバーセスへと移った。 |
| ビクとも | もっと強い人間もいる。多少のことじゃビクともしないような、理不尽なんか全部はね除けて、まっすぐに生きていけるような人間も、きっとたくさんいる |
| はね除ける | |
| 害意 | 彼女のもたらした悪意や害意が、自身の傷や痛みと相殺されることはない。消えない痛みは罪に対する報いであり、罰だ |
| 相殺 | |
| 回診 | 回診中です。外でお待ちください |
| 邪推 | 茉莉絵の祖父が、あわよくば死んでほしいと思って選んだのかも、などと意地の悪い邪推がしたくなってくる |
| はにかむ | すると、茉莉絵はにかみながら、「拾は最近……夜に、作曲をしてるんです」まるで内緒話みたいなボリュームでそう言って、微笑んだ |
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